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望まれる健康食品の適切な広告表示

2009年05月29日 (金)

 商品購入に関するトラブルを回避するためにも、購入時に適切な情報が提供されることが欠かせない。店舗だけでなくインターネットや通信販売など、購入ルートが広がっている現代社会では、表示・広告の重要性は一層高まっているといえるだろう。こうした中で東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県、静岡県の5都県はこのほど、広告表示の合同調査の結果をまとめた。

 この5都県では2年前に、「5都県広告表示等適正化推進協議会」を設置した。広域的かつ効果的に広告表示等の適正化を推進するため、連携体制を強化していこうというもので、事例研究や情報交換などを通じて違反事業者の調査、指導を行ってきた。今回の合同調査の対象は「フリーペーパー」で、最近ではグルメやショッピング、エステ・美容など、様々な生活情報を掲載し、無料で配布されており、新たな広告媒体としても注目されている。

 5都県の区域内で共通して発行されたフリーペーパー5紙(誌)を対象に、エステ・化粧品・健康食品など、健康や美容に関する効果・効能・性能等を強調する広告表示を調査した。

 その結果、美容サービスや商品の摂取のみで痩身や美容効果が可能であるかのように表示しているもの、明らかに誇大な表示を行っていると思われるものなどが見つかった。5都県では合同で販売事業者への指導と、関係業界へ要望を行ったという。

 景品表示法に違反する恐れのある広告表示のうち、参考までに「健康食品」についての事例を紹介すると、▽簡単・確実・速効!飲むだけで誰でも必ず激ヤセします▽従来品の○○倍といわれるこの劇的な痩身効果で、理想のスタイルを実現します▽さらに痩せる以外にこんな嬉しい効果があります!リバウンドしない!肌もツルツル!セルライト解消!体臭・口臭カット▽雑誌やTVの健康番組でも特集され、その確かな効果を実証済み▽誰でも飲むだけで簡単に下半身から集中ダイエット――など。

 これらの多くは「何となく見たことがある」ような気がするのではないだろうか。氾濫する情報に慣れてしまい、別に気にならなくなっているかもしれない。また、製品自体には問題がなく、むしろ非常にいい成分を使用しているのだが、広告表現だけが悪かった場合や、逆に疑わしい製品をアピールする目的で、誇大表示を行っていた場合もあると思われる。とにかく通販にしろ店頭販売にしろ、一般消費者が適切な製品を選択できるよう、情報提供が充実される環境整備が必要なのは言うまでもない。

 最近では、輸入した健康食品などが原因で,重篤な健康被害が起きたニュースは聞かれない。しかし、例えば都では定期的に健康食品の試買調査などを行っているが、医薬品成分を含んでいる製品も少なくない。報告に挙がらなくとも、健康食品を利用して皮膚のかゆみや下痢など、体の不調を感じた人はあるはずだ。

 都では医療機関等と連携してこうした情報収集に努めているが、今後は健康被害の防止と違反製品の流通阻止を目指して、今回の合同調査のように行政や関係団体による横の連携が推進されることを望みたい。



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