TOP > HEADLINE NEWS ∨ 

【海外大手製薬企業の09年上半期決算】欧州勢と米国勢で明暗‐為替変動が大きく影響

2009年08月04日 (火)

 海外大手製薬企業の2009年上半期決算が出揃った。各社とも主力品の堅調な伸びに支えられたものの、為替変動が大きく影響し、現地通貨ベースでは増収を確保しながら、米ドルベースでは減収に落ち込むケースが相次いだ。特に欧州勢が軒並み増収を確保する一方、米国勢はイーライリリーを除く各社が減収となった。実質的には増収を確保しながら、ドル高の影響が直撃した格好だ。

米ファイザー

主力大型製品が二桁の落ち込み

 米ファイザーは、主要製品の相次ぐ米国特許切れに加え、為替変動が影響。売上高は、前年同期比9%減の218億5100万ドルと減収、純利益は10%減の49億9000万ドルと二桁減益となった。

 医療用医薬品の売上高は、8%減の201億6500万ドル。主力の高脂血症治療薬「リピトール」が12%減の54億0600万ドル、高血圧治療薬「ノルバスク」が12%減の9億9900万ドルと、大型製品が軒並み二桁の落ち込みを見せ、10%増の神経障害性疼痛治療薬「リリカ」、6%増の抗癌剤「スーテント」と、好調な新製品群でカバーできなかった。禁煙補助薬「チャンティックス/チャンピックス」も、精神神経系の有害事象に関するラベル変更が直撃。前年同期の33%増から一転し、24%の大幅減となった。

仏サノフィ・アベンティス

営業利益41%増‐トップ製品群好調

 仏サノフィ・アベンティスは、主力品の静脈血栓症治療薬「レベノックス」、持効性インスリンアナログ製剤「ランタス」などが好調で、ワクチン事業も堅調に推移した結果、売上高は6・7%増の145億4500万ユーロとなった。

 医薬品事業の売上高は、トップ製品の静脈血栓症治療薬「レベノックス」が6・9%増、抗血小板薬「プラビックス」が4・2%増と伸長。「ランタス」も26・6%増と高い成長を維持し、3・0%増の132億0600万ユーロとなった。

 ワクチン事業は、季節変動の激しいインフルエンザワクチンが41・0%減と落ち込んだが、Hibワクチンなどが好調で、3・7%増の13億3900万ユーロと増収を確保した。

 その結果、利益面では、営業利益が40・9%増の59億4400万ユーロ、純利益が30・6%増の44億4600万ユーロと大幅な二桁増益となった。

スイス・ロシュ

「タミフル」と抗癌剤が伸長

 スイス・ロシュは、新型インフルエンザの流行が追い風となり、抗インフルエンザウイルス治療薬「タミフル」が大幅に増加。主力の血管新生阻害剤「アバスチン」、悪性リンパ腫治療薬「リツキサン」、転移性乳癌治療薬「ハーセプチン」など抗癌剤も大きく伸ばし、9%増の240億0600万スイスフラン(CHF)となったが、純利益は、米ジェネンテックの完全子会社化の費用を計上したため、29%減の40億5100万CHFと大幅な減益となった。

 医療用医薬品の売上高は、11%増の191億0400万CHFと二桁成長を達成。ジェネンテックが14%増、中外製薬が50%増と牽引し、グループ全体の業績を押し上げた。

 主力の癌領域は、「アバスチン」が29%増、「ハーセプチン」が10%増、「タルセバ」が10%増など、軒並み二桁の伸びを示し、トップ製品の「リツキサン」も8%増と好調を維持した。

英グラクソ・スミスクライン

ワクチン事業とOTC系が牽引

 英グラクソ・スミスクラインは、ワクチン事業とコンシューマーヘルスケア事業が好調に推移し、売上高は17%増の135億1600万ポンドと大幅に伸長した。

 医療用医薬品部門は、12%増の112億0500万ポンド。主力の気管支喘息・COPD治療薬「セレタイド/アドエア」は、新興市場とアジアで売上を拡大し、24億5900万ポンド。HIV領域の抗ウイルス薬「バルトレックス」が7億2300万ポンドとなった。

 また、ワクチン事業は、新製品の子宮頸癌予防ワクチン「サーバリックス」が1億2100万ポンド、小児用ロタウイルスワクチン「ロタリックス」が1億2800万ポンドと好調で、14%増の13億8100万ポンドと大幅に伸長し、医療用医薬品部門の売上を支えた。

 コンシューマーヘルスケア事業は、抗肥満薬のスイッチOTC「アライ」などが牽引し、23億1100万ポンドとなった。

スイス・ノバルティス

癌領域二桁伸長も為替の影響で減収

 スイス・ノバルティスファーマは、最大フランチャイズの癌領域と新製品群が好調で、現地通貨ベースの売上高は、8%増の202億5500万ドルとなったものの、米ドルベースでは為替の影響を大きく受け、2%減となった。

 医薬品事業の売上高は3%増(米ドルベース)の135億4800万ドル。特にオンコロジー事業は、慢性骨髄性白血病治療薬「グリベック」、アロマターゼ阻害剤「フェマーラ」、鉄キレート剤「エクジェイド」が二桁成長で貢献し、現地通貨ベースで15%増の42億ドルとなった。新製品の加齢黄斑変性症治療剤「ルセンティス」、直接レニン阻害剤「ラジレス」も業績を支えた。

 後発品事業のサンドは、中欧・東欧、アジア太平洋地域が業績を牽引。バイオシミラー3製品も売上に貢献し、現地通貨ベースで4%増の35億ドルとなった。

英アストラゼネカ

抗高脂血症薬と降圧薬が二桁増

 英アストラゼネカは、主力品が大幅に伸長し、売上高は8%増の156億5900万ドルとなった。

 製品別では、抗潰瘍薬「ネキシム」は5%減となったものの、高脂血症治療薬「クレストール」は24%増、統合失調症治療薬「セロクエル」も10%増と二桁成長を達成した。また、高血圧治療薬「セロケン/トプロールXL」も後発品の市場撤退が影響し、78%増と反転。増収に貢献した。

米ジョンソン・エンド・ジョンソン

為替変動に加えて後発品影響し減収

 米ジョンソン・エンド・ジョンソンは、為替変動の影響を受け、売上高は7・3%減の302億6500万ドルとなった。

 医療用医薬品の売上高は、11・7%減の112億7800万ドル。主力品の抗リウマチ薬「レミケード」が13・1%増、新製品の多発性骨髄腫治療薬「ベルケード」が8・2%増と売上を拡大したものの、後発品の影響を受けた統合失調症治療薬「リスパダール」66・2%減、片頭痛治療薬「トパマックス」も40・7%減と大きく減らしたことが響いた。

 医療機器・診断薬事業は、営業ベースの増収を為替変動の影響が吸収して3・0%減、、コンシューマー事業もOTCが振るわず6・6%減となった。

米メルク

新製品が貢献もワクチンは不調

 米メルクは、主力のアレルギー治療薬「シングレア」やDPP‐4阻害薬「ジャヌビア」に加え、新製品のHIVインテグラーゼ阻害剤「アイセントレス」が大きく伸長したが、子宮頸癌予防ワクチン「ガーダシル」、小児ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン「ロタテック」が二桁減とワクチンが不調で、売上高は5%減の112億8500万ドルとなった。

 純利益は、世界規模の事業再構築計画の関連費用、シェリング・プラウとの統合関連費用を計上した影響で、41%減の29億8100万ドルとなった。

米ワイス

主力のワクチンとバイオは好調維持

 米ワイスは、主力品が好調に推移して2%の増収を確保したものの、為替変動の影響を受け、売上高は5%減の111億ドルとなった。

 主力の抗うつ薬「エフェクサー」は後発品との競合が激化し22%減と大幅に落ち込んだが、肺炎球菌感染予防ワクチン「プレベナー」が10%増、抗リウマチ薬「エンブレル」が米国・カナダ以外で5%増と堅調に推移し、ワクチンとバイオ医薬品は好調を維持したが、為替変動の影響で相殺し、売上減をカバーできなかった。

米イーライリリー

「シンバルタ」が 二桁成長で増収

 米イーライリリーは、主力品の大うつ病治療薬「シンバルタ」の二桁成長などに支えられ、売上高は4%増の103億3900万ドルとなった。

 製品別では、トップ製品の抗精神病薬「ジプレキサ」は1%減となったが、「シンバルタ」が15%増、超速効型インスリン製剤「ヒューマログ」が10%増、悪性胸膜中皮腫治療薬「アリムタ」も38%増と二桁の伸びを示した。

 営業利益は、増収が寄与し、47%増と大幅な増益となった。



‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術