得意技で戦略パートナーへ
昨年10月に誕生した新生ファーマネットワーク。その基本戦略は、旧ファーマネットワークと旧イーピーメディカルそれぞれの得意技(専門MRの育成やモニタリングMRなど)を有機的に展開していくほか、イーピーエス・グループ会社間の連携による提案力の強化、エン・ジャパンをはじめとする人材紹介会社との連携による優秀な人材の確保を積極的に進めていくこと。「クライアントから信頼される戦略的パートナー」「日本で一番輝いているCSO」を目指し、新生ファーマネットワークの挑戦は続いている。同社の特徴や戦略などを、市来研志会長と榎戸誠社長に聞いた。
旧ファーマネットワークでは、オンコロジー領域の専門MR育成を行ってきたが、これはオンコロジー領域未経験者に、独自のカリキュラムのもと、本社の研修センターで数カ月間にわたって、オンコロジー専門研修を施し、専門MRを育成するというもの。大学のオンコロジー部門の教授とも連携し、本格的な専門教育を行っている。この1月から、クライアント2社でオンコロジープロジェクトがスタートしており、順調に滑り出している。
同事業について榎戸氏は、CSOとしてリスクを意識しながらも、時間をかけてオンコロジー領域専門MRの育成を決断したこと、意欲的で優秀な若手MRを揃えられたこと、同社幹部が大学のオンコロジー部門の教授と強力なパイプを有していたこと――を、成功の要因に挙げている。
一方、旧イーピーメディカルは、早くからPMS事業に取り組んできた。PMSに特化したモニタリングMR(GVP/GPSP対応専任MR)の業務受託、派遣を2年前から開始して、ノウハウを蓄積し、現在7プロジェクトが進行している。今後は、PMS事業の医薬品、医療機器分野での、さらなる展開を目指している。
来年、創立20周年を迎える親会社イーピーエスでは、フルライン化、グローバル化戦略を踏まえた中期計画を策定中だ。ファーマネットワークも、イーピーエスをはじめグループ各社との連携強化による包括的なサービス提供をクライアントに訴求し、成果が得られつつある。
また、プロジェクトの急増に対してMR不足という状況に対応するため、エン・ジャパンをはじめとする人材紹介会社と緊密な連携をとり、クライアントのスペックを満たす優秀な人材確保に注力していく方針だ。
将来戦略について市来氏は、2010年問題などで製薬・医療機器企業が、人材コストの固定化を避ける傾向があることなどを背景に、CSO事業は現在のコントラクトMR(CMR)比率3%程度から、10%程度まで成長すると予測している。「CSOは将来性があるが、課題はCMRの質の向上で、医師のニーズに対応できる研修内容が必要になる」と、研修を充実強化して、さらなる質の向上を目指す姿勢を明確にしている。
同社の特徴の一つである「女性MR研究会」は昨年で一旦役割を終了したが、現在、新たな研究会を検討しており、「今後は女性MRも、より積極的に採用していきたい」と積極的だ。
また、医療機器分野においても、CMRの増強を図っていくほか、新卒・中途採用代行サービス事業の展開も視野に入れている。
多様な事業展開を構築・構想している同社だが、「企業である以上、クライアントから必要とされる存在になりたい」と熱く語る榎戸節は健在だ。同社が、成長路線を進んでいる事実は、市来、榎戸両トップが、「MRは単なる従業員ではなく、大切な仲間」という基本姿勢を貫いていることによる。
ファーマネットワーク
http://pharmanetwork.jp/