医療機器センターは、国内初となる医療機器産業専門のシンクタンク「医療機器産業研究所」を設立した。医療機器産業が抱える課題の抽出を目的に、「リサーチペーパー」を年間3課題程度作成するほか、リサーチペーパーに関する議論を進める場として、産業研究会を開催し、医療機器産業の将来戦略に関する提言を行う方針だ。
国内の医療機器産業は、先端医療開発特区(スーパー特区)の創設によって、医療機器の開発を行う研究開発拠点は着実に揃いつつある一方、広範な検討課題を抱えながらも、定量データや実証研究データに基づく議論を行うためのシンクタンク機能が遅れているのが現状だった。
こうした中、同センターでは、医療機器産業を持続的に発展させるためには、機器開発とシンクタンクの両輪が必要との考えから、4月に「医療機器産業研究所」を発足させ、医療機器産業に特化したシンクタンク活動を開始することになった。
新たに発足した医療機器産業研究所では、医療機器産業の諸課題や内外環境の分析・研究を行い、その研究成果をリサーチペーパーとして公表する。リサーチペーパーは、シンクタンク研究員による戦略型研究を年間3課題程度を予定するほか、研究機関に所属する研究者による公募型研究も受け付ける。
既に4月には、リサーチペーパー第1弾として、医療機器産業研究所主任研究員の中野壮陛氏から「革新的医療機器の保険収載プロセス」が発刊されている。第2弾は、8月に発刊される予定。
リサーチペーパー発刊後は、産業研究会でディスカッションを行い、行政での政策検討支援に加え、企業での戦略検討支援、医療機器産業の認知度向上に役立てる。さらに、産学官で意見を集約してから、将来戦略提言書「医療機器産業イニシアティブ」(仮称)を、3年に1回公表する計画だ。