今年の厚生労働白書はひと味違ったものになりそうだ。先の厚生労働省政策会議に示された原案は、冒頭の“はじめに”で、年金記録問題や薬害肝炎問題を例に挙げて、「国民の皆様からの信頼を失墜させる問題により、担い手たる厚生労働省が自らその基盤を崩してしまってきたことは誠に申し訳なく、率直にお詫びを申し上げたい」と、謝罪の言葉を述べている。
原案によると、2010年版のテーマは、長妻昭厚労相が日頃から口にする、「生活者の立場に立つ信用される厚生労働省」。謝罪の言葉のほか、「これまでに生じた問題について真摯に反省し、心から信頼させる厚生労働行政へ立て直さなければならない」と意気込みも示す。
2部構成の本体は、前半で「厚生労働省改革元年」をタイトルに掲げ、年金記録や旧社会保険庁をめぐる問題への対応や、薬害肝炎事件を受けた医薬品行政の見直しなどを紹介。
さらに、厚労省内部の改革として、▽人事評価・組織目標の策定▽経費の削減・無駄の排除▽制度改革に向けた取り組み・業務改善▽実態把握能力・コミュニケーション能力の向上--などを挙げ、過去の反省と今後の決意を表明する。
後半のタイトルは、「世界に誇る『少子高齢社会の日本モデル』の確立」だ。日本モデルを「格差が少なく、何歳になっても働きたい男女が働くことができ、安心して子どもが産め、地域で健康の長寿を迎えられる等の社会を目指すもの」と解説。今後の施策の道筋を、年次行政報告の中に散りばめながら示す。