厚生労働省医薬食品局は「医薬品・医療機器等安全性情報」(第269号)で、日本医療機能評価機構が昨年9月から始めた、薬局ヒヤリ・ハット事例収集・分析事業の実施状況を紹介し、「収集された事例を薬局で管理者、担当者、その他職員の間で情報共有し、薬局内の医療安全の推進に役立つものとして、本事業が活用されていくことが望まれる」と、登録を促した。
同事業への参加は、3月末時点で2244薬局と、全薬局の5%にも満たない。そのため医薬食品局は安全性情報で、報告事例が少ない段階でも登録は可能とし、「安全管理の意識向上のためにも、登録の促進をお願いする」と呼びかけている。
また、対象事例の条件を、[1]医療に誤りがあったが、患者に実施される前に発見された[2]誤った医療が実施されたが、患者への影響が認められなかったり軽微な処置・治療を要した[3]誤った医療が実施されたが、患者への治療が不明--と説明。該当事例が発生した場合、認識した日から原則1カ月以内に、ホームページ上の専用報告画面から、各薬局が報告する流れを示した。
集計結果は年2回公表され、昨年7~12月の状況をまとめた直近集計では、調剤に関する事例が1177件、疑義照会に関する事例が99件だったと解説。特に医療安全対策に有用な情報として、内服薬調剤、薬剤取違え、規格・剤形間違いなどの20事例を掲載していることも紹介している。
このほか、今回の安全性情報では、既に添付文書の改訂を指示しているDPP‐4阻害剤のシタグリプチンリン酸塩水和物、ビルダグリプチン、アログリプチン安息香酸塩のスルホニルウレア剤との併用や、クロピドグレル硫酸塩などで発生している重大な副作用に関する情報を提供している。