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関空で医薬品専用の共同定温庫が稼働‐完全な“クールチェーン輸送”が実現

2010年10月05日 (火)
20℃と5℃の定温エリアがある

20℃と5℃の定温エリアがある

 関西国際空港に新設された、日本の空港では初めての医薬品専用共同定温庫「KIX‐Medica」(キックスメディカ)が稼働した。倉庫内は一定の温度(20℃、5℃)に保たれ、空港内での完全な温度管理が実現した。医療用医薬品の原料や半完成品などの輸出入に使われる見込みだ。

 医療用医薬品の輸出入には通常、航空機が用いられる。輸送トラックや運送事業者の倉庫、航空機内での定温管理は可能だが、空港内での温度管理はこれまで十分ではなかった。製薬会社から「温度管理を完全にしたい」「医薬品専用の倉庫が望ましい」「温度記録を可視化したい」とのニーズがあったという。

 こうした声を背景に、貨物地区の既存施設を改装し、定温庫を新設した。輸送行程のうち、温度管理が不十分だった部分を手当てし、医薬品の完全な“クールチェーン輸送”が実現した。

医薬品専用共同定温庫外観

医薬品専用共同定温庫外観

 関西国際空港ではこれまで、医薬品を搭載した定温コンテナを、空港内の倉庫に点在させる形で受け入れる体制しかとられていなかったが、医薬品専用定温庫の稼働によって、大量の医薬品を一度に輸入できるようになることも利点だ。

 コンテナから医薬品を降ろして荷さばきする作業も、定温庫内で行えるため、品質管理の面で有利になる。

 床面積は750m2。このうち650m2は20℃の定温エリア、100m2は5℃の定温エリア。月当たりの最大取り扱い容量は約800トン。使用電力の約1割は屋根に設置した太陽光パネルで賄い、環境に配慮した構造になっている。

 関西には製薬会社の生産拠点が多い。関西国際空港の輸入額のトップシェアは医薬品で、2009年の輸入額の18・3%、4281億円に達する。輸出入の合計額も5356億円で、第2位のシェアになる。

関係者によるテープカット

関係者によるテープカット

 9月29日に定温庫内で開かれたオープニングセレモニーで、関西国際空港社長の福島伸一氏は「関西には、医薬品関連企業の本社、研究開発拠点、生産拠点が集積している。日本の他の空港に先駆けて、高品質な医薬品の輸送に取り組みたい、お客さんの要望に応えたいとして、医薬品専用の共同定温庫をオープンした」と強調。「パネルベイ、グリーンベイに続く第3の柱として医薬品を育てたい」と語った。

 来賓として出席した大阪商工会議所専務理事の灘本正博氏は、「ライフサイエンス産業を、関西経済のエンジン産業の一つとして位置づけている。物流面で大変大きなサポートを得た。心強く思っている」と話した。

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