日本赤十字社は、輸血用血液製剤の需要がピークを迎える2027年に、延べ549万人の献血者を確保しなければならず、献血可能人口当たり延べ献血者数(献血率)を、現行の5・9%から7・2%に引き上げる必要があるとするシミュレーションをまとめた。人数換算で延べ100万人以上の献血者を新たに掘り起こさないと、高齢化に伴って伸びる輸血製剤を賄えなくなる。
現在、東京都の直近07年度実績で、輸血製剤の約85%を50歳以上の患者に使用している。日赤は、この比率が今後も続くと仮定し、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口中位推計を用い、200mL献血由来の血液製剤を1本と換算し、今後の供給量を割り出した。
それによると、27年には血小板製剤900万本、全血製剤・赤血球製剤671万本、血漿製剤91万本が必要になる。検査不合格などを見込んだ延べ必要献血者数は、全血輸血が383・0万人、血漿成分献血が81・6万人、血小板成分献血が84・1万人となる計算だ。
一方、27年の献血者数を算出したところ、現行水準のまま推移した場合、全体の平均献血率を用いると、献血者数は延べ448万人にとどまり、必要数を101万人下回り、各年代別の献血率を用いると献血者数は延べ440万人で109万人不足するという。
この需給ギャップを若年層だけで埋めるには、現行は6・0%の10代の献血率を13・0%へ、7・9%の20代の献血率を14・9%に引き上げなければならない。
ちなみに、今回の推計では、出血が少ない手術手技や人工血の開発など、医療の高度化は織り込んでいない。また、血漿分画製剤は含めていない。仮に血漿分画製剤の国内自給100%を達成した場合には、原料血漿を50万L増やさなければならない。血漿成分献血を1人当たり450mLとすると、さらに約111万人の献血者を上乗せする必要がある。