TOP > HEADLINE NEWS ∨ 

【製薬大手4社・11年3月期中間決算】武田とアステラスが大幅減に‐主力品の特許切れで明暗

2010年11月05日 (金)

 国内大手製薬企業4社の2011年3月期中間決算(連結)が出揃った。武田薬品とアステラス製薬は、米国で特許切れした主力品の売上が約半減と苦戦するなど、「2010年問題」が直撃。円高のマイナス影響も大きく、両社とも減収減益に落ち込んだ。一方、特許切れの影響が少ない第一三共は、インド子会社ランバクシーの大幅な売上増が貢献し、増収増益。エーザイも、目前に主力品の特許切れが迫る中、過去最高の増収増益を達成した。大手各社とも、これまで業績を牽引してきた海外売上高の伸びが失速しつつあり、2010年問題の本格化を反映する中間決算となった。

 売上高を見ると、国内トップの武田は、主力の2型糖尿病治療剤「ピオグリタゾン」が国内の価格見直しなどにより、0・8%増と盛り返したが、米国で特許切れした消化性潰瘍治療剤「ランソプラゾール」は、後発品の浸透を受け42・5%減の752億円と大きく売上を減らした。ミレニアム製品の多発性骨髄腫治療剤「ベルケイド」、国内の新製品が伸長したが、557億円の売上減となったランソプラゾールの落ち込みをカバーできず、全体で5・5%の減収となった。

 同様にアステラスは、グローバル製品の過活動膀胱治療剤「ベシケア」が4・0%増、抗真菌剤「ファンガード/マイカミン」が18・2%増と伸長したが、米国で特許切れした主力の免疫抑制剤「プログラフ」が後発品の影響を受け、20・8%減となり、6・7%の減収となった。

 これに対し、主力品で特許切れの影響が少なかった第一三共は、グローバル製品の高血圧治療剤「オルメサルタン」が5・4%増と伸長。特にランバクシーが49・0%増の985億円と大きく貢献し、6・0%の増収を確保した。

 エーザイも、抗潰瘍剤「パリエット/アシフェックス」が、米国で競合ブランド品の後発品が影響し、4・1%減となったが、今月に米国特許切れを迎える主力のアルツハイマー型認知症治療剤「アリセプト」は、日本と米国で大きく伸長し10・3%増の二桁成長を達成。4・4%の増収。

 武田とアステラスは、主力品の特許切れの影響が大幅な売上減として直撃し、2010年問題の深刻さが浮き彫りになったのに対して、ランバクシー買収で新興国市場と後発品を手中に収めた第一三共は、その恩恵を十分に受けた格好となった。ただ、エーザイは、過去最高の増収を計上したとはいえ、これから米国特許切れの影響が表面化してくるだけに、予断を許さない状況にある。

 一方、利益面は、武田とアステラスが主力品の大幅な減収が響き、減益に落ち込んだが、第一三共とエーザイは増収効果で大幅な増益を達成。特にエーザイは過去最高益となった。

 営業利益を見ると、武田は減収が利益率を押し下げ、8・6%減。アステラスも減収の影響で原価率が悪化したことに加え、導入費用など研究開発費が大きく膨らみ、47・5%減と二桁減益となった。これに対し、第一三共はランバクシーの増収により、77・2%増。エーザイも自社販売体制の強化などが寄与し、36・8%増と大幅な増益を確保した。

 通期は、ランバクシーが好調な第一三共が増収予想としているが、武田、アステラス、エーザイの3社は円高と特許切れの影響で減収予想。また営業利益は、武田とアステラスが二桁減益となる一方、第一三共は経費の圧縮で増益を確保。減収予想のエーザイも、収益性の向上で過去最高益となる見通しだが、大手3社が2010年問題の逆風に直面することになる。



‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術