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油断できないインフルエンザ対策

2010年11月19日 (金)

 ドラッグストア業界では前年に流行した新型インフルエンザ関連商品の特需による反動が、業績に影響を与えているようだ。これは医療品卸も同様で、マスク特需で各卸とも販売量・売上がかつてない好成績で推移していたものの、パンデミック騒動の終焉と共に、商品確保に四苦八苦していたマスクが在庫増となって、各卸の収益を圧迫している。

 昨年発生し、世界的な流行を見せた新型インフルエンザ(A/H1N1)だが、WHOからポストパンデミック宣言(世界的大流行の終息)がなされている。あれほど騒がれたものの、結局は大事には至らず、人々は「な~んだ」という感じで、何やら安心ムードすらある。

 しかし、日本で大流行にならず、一般的な季節性インフルエンザに比べて、非常に低い致死率だったのは、日本には優れた医療体制があり、一般生活者に加え、企業側の懸命な対策があったことを挙げる専門家は多い。

 パンデミックは予測できず、今後も地域的な流行が発生する可能性があり、警戒の継続が重要なのはいうまでもない。

 意外と知られていないが、季節性インフルエンザでも毎年死亡する人は少なくない。東京都では、新型インフルエンザ等の秋から冬の再流行に備え、流行状況等の迅速な把握や流行状況に応じた医療体制の確保を図っている。集団サーベイランスの対象範囲を、これまでの学校・保育所に加え、高齢者・障害者施設等も対象に追加するなど、サーベイランス体制を強化したのも、その一つ。

 新型インフルエンザの予防対策としては、手洗い・うがいの励行や、咳などの症状がある場合は積極的にマスクをつける、流行時は不要不急の外出や人混みを避けることが挙げられる。さらには、咳やくしゃみをする際にはマスクのほか、口と鼻をティッシュなどで覆う“咳エチケット”も望まれる。

 都では新型インフルエンザの感染が拡大していた昨秋、都民を対象にアンケートを行ったが、マスメディアから得る情報によって、多くの人がこれらの予防対策を実行していた。

 誰もができる感染予防策としては、やはり「手洗い」と「咳エチケット」の徹底といえる。特に手洗いは、個人衛生の基本であり、外出先から戻った際や帰宅時など、こまめに手を洗うことが大事で、咳やくしゃみを手で覆った時にも洗いたい。流水で手を洗えない時は、手指に擦り込むタイプのアルコール製剤も有効で、最近では携帯サイズの商品も増えてきた。

 何気なく行っている手洗いだが、手の平や甲の擦り方、指先や爪の間の擦り方、指の間の洗い方、そして親指と手の平をねじり洗いしたり、手首も丁寧に洗うなど、正しい手洗いができていない人は結構多く、医療関係者でも少なくないようだ。マスクにしても同様で、機能性の高い製品が各種登場しているが、きっちり着用できているかが大事なポイントでもある。

 感染予防に向けては、インフルエンザ関連商品を供給する小売側が、正しい手洗い方法やマスクの着用などの情報発信に一役買ってもらうことも、切に望みたい。



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