厚生労働省は、2008年度の国民医療費集計結果を発表した。それによると、医療保険や公費負担のほかに全額自費を含め、保険診療の対象となった医療費は過去最高を更新し、総計34兆8084億円、1人当たり26万7200円だった。伸び率は、診療報酬0・82%引き下げの影響で、ともに2・0%にとどまったが、国民所得に占める国民医療費総額の割合は、0・88ポイント増の9・90%となった。
診療種類別の内訳は、一般診療が入院12兆8248億円、入院外13兆1347億円の計25兆9595億円、薬局調剤が5兆3955億円、歯科診療が2兆5777億円、入院時食事・生活医療費が8152億円。対前年度伸び率は、一般診療が1・2%増と低水準だったが、薬局調剤は5・3%増加。構成比は、一般診療が0・5ポイント縮小して74・6%となった一方、薬局調剤は0・5ポイント拡大して15・5%となった。
また、一般診療費の主傷病は、循環器系疾患が5兆2980億円で最も多く、以下、新生物3兆3121億円、呼吸器系疾患2兆0186億円、腎尿路生殖器系疾患1兆9273億円、筋骨格・結合組織疾患1兆9273億円と続き、上位5分類で全体の55・8%を占めた。65歳以上は新生物、65歳未満は循環器系がそれぞれ最多だった。
制度区分別の国民医療費は、被用者保険、国民健康保険、労働災害等保険給付分が16兆9548億円で、前年度から1・2%増。後期高齢者給付分が10兆4273億円で1・4%増。公費負担給付分が2兆3310億円で1・3%増となっており、患者負担分も4兆9141億円で2・4%増加した。患者負担分や公害補償などを除いた財源は、保険料が1・4%増の16兆9709億円、公費が2・6%増の12兆9053億円となっている。
年齢階級別では、65歳以上が18兆9999億円で構成比54・6%と過半に達し、45~64歳は8兆7397億円で25・1%、15~44歳は4兆8362億円で13・9%、0~14歳は2兆2326億円で6・4%を占めている。
一人当たりでは、65歳以上の67万3400円に対し、65歳未満は15万8900円と4・2倍の開きがある。薬局調剤の一人当たり単価は65歳以上10万4500円、65際未満2万4600円だった。男女に分けると、20歳未満の未成年期と45~74歳の中年から高齢の初期で男性の医療費が多く、20~44歳の青壮年期や75歳以上で女性が多い。