中小企業のサラリーマンと、その家族が加入する公的医療保険「協会けんぽ」を運営する協会全国健康保険協会が、今年前半に実施した後発品差額通知サービスの結果を正式にまとめた。それによると、自己負担の軽減額は月間約5億8000万円で、年間換算だと約69億6000万円となった。10月に公表した暫定推計値の、年間72億5000万円を下回ったものの、コスト約7億5000万円を大きく上回る、薬剤費の削減効果が明らかになった。
協会けんぽは、今年1月から6月にかけて、全47支部で差額サービスを展開した。対象条件を、[1]40歳以上[2]自己負担の軽減可能額が200円以上[3]慢性疾患等の先発品を長期服用している--とし、全国の加入者約3494万人の4・1%に相当する約145万人に通知した。
実際に後発品に切り替えた加入者は約38万人で、通知者全体の26・2%を占め、1人当たり軽減額は月1525円だった。
切り替え率は、自己負担の軽減可能額別に見ると、200円台が23・7%、300円台が24・7%、400円台が25・6%、500~999円が27・1%、1000円以上が29・0%で、差額が大きいほど切り替え率が高いものの、影響が比較的小さくても一定程度の効果が見られる。
年齢階級別だと、40歳代が22・1%、50歳代が25・1%、60歳代が27・5%、70~74歳が31・6%で、高年齢層ほど後発品への切り替えが進んだ。
さらに、軽減可能額と年齢のクロス集計による切り替え状況を見ると、40歳代は差額が1000円以上で25・2%の切り替えにとどまるが、60歳代は差額が200円台でも24・9%、1000円以上では30・0%となる。70歳代になると、200円台でも30・2%と3割を超え、1000円以上は33・2%に達した。
都道府県別では、切り替え者における1人当たり平均軽減額は、1300~1700円と大きな違いはないが、支部全体の軽減額には開きがある。最大は東京の5753万円で、大阪4799万円、北海道3369万円、愛知3303万円、福岡2738万円と続き、逆に少なかったのは鳥取271万円、山梨380万円、徳島386万円、和歌山424万円、福井427万円など。
協会けんぽでは、11月から年明け1月下旬にかけて、2回目となる全支部での差額通知を進めている。条件を一部変更し、軽減可能額を300円以上に絞りつつ、年齢を35歳以上に拡大。対象者は、1回目との重複者を除く約62万人を予定している。