愛知県薬剤師会は今年度から、薬局薬剤師を主な対象として、「妊娠・授乳サポート薬剤師」の養成に取り組んでいる。今年度は約50人、2013年度までの4年間で約200人を養成する計画だ。病院薬剤師を対象とした妊婦・授乳婦領域の専門・認定薬剤師制度はあるが、薬局薬剤師を対象にした養成制度はほかにはなく、成果が期待される。
「妊娠・授乳サポート薬剤師」の養成は、妊娠・授乳中の女性の疑問や質問に向き合い、情報源の利用や判断、コミュニケーションをそれぞれ適切に行って、サポートできる薬剤師を育てることが目的。医療従事者にも適切なアドバイスができる薬剤師を育成する。
今年度は、独自のカリキュラムに基づく「養成講座」を6回計画し、11月までに4回を終えた。現場の医師が講師となった90分1コマの講義を、公開講演会として計4コマ実施。「妊娠中の女性と胎児の生理、先天異常」「母乳分泌の生理、母乳、乳児の生理」などを医師が解説した。
薬系大学の教員らが講師となった講義や演習は、計7時間実施した。参加した約50人は、パソコンを使って情報源の活用と情報評価の方法を学んだり、模擬患者を前にコミュニケーションの方法を訓練したりした。
11年3月の6回目の養成講座では、修了試験の実施を計画している。ペーパーテストのほか、情報源の活用や判断、コミュニケーションに関する実技も行う。また、修了課題として、薬剤師として実際に対応した10事例の提出も課している。
1年間かけて学んだ約50人に対し、養成講座の内容が身についていることを確認した上で、修了証と、薬局店頭などで貼付するシールを3月末にわたす予定だ。
「妊娠・授乳サポート薬剤師」の養成は、「愛知県地域医療再生調査研究事業」の一環として進めている。前身は、公的な研究費をもとに、愛知県が分担事業者となった「妊婦・授乳婦の医薬品適正使用ネットワーク構築に関する研究班」の研究事業。06~08年度に実施された事業を、愛知県薬が09年度に引き継いだ。