厚生科学審議会疾病対策部会の「リウマチ・アレルギー対策委員会」に設置された「アレルギー疾患対策作業班」は、今後のアレルギー性疾患対策の方向性や具体的な方策についての報告書案を、大筋で了承した。報告書案では、アレルギー疾患対策の当面の目標を「自己管理可能な疾患」にすると定め、看護師や薬剤師など、医師以外の医療従事者が果たすべき役割などを明記。薬局薬剤師によるステロイド薬の適正使用や、薬学教育モデル・コアカリキュラムに基づいた、アレルギー疾患教育の充実などを盛り込んだ。報告書案は、この日の議論を踏まえて修正を加え、親委員会に報告する。
報告書案では、診療ガイドライン(GL)に基づいた、標準的な医療を提供するには、医師だけでなく、看護師や薬剤師などの医療従事者が果たすべき役割が大きいとし、「薬局薬剤師の活用」を盛り込むなど、2005年のリウマチ・アレルギー対策委員会の報告書に比べ、薬剤師に大きな役割を求めたのが特徴。
疾患の重症化を防ぐためには、GLに基づいたステロイド薬の適正使用が重要と指摘。患者や家族に対し、薬剤の薬効、用法・用量、副作用などの情報を適切に提供するため、地域の薬局薬剤師の活用を検討することが望ましいとした。
また、保健師、看護師、薬剤師など、医師以外の医療従事者に対し、アレルギー疾患患者に適切に対応できるよう、知識・技能を高めておくことも求めている。
薬剤師については、コアカリキュラムで、▽アレルギーの代表的な治療薬を挙げ、作用機序、臨床応用、主な副作用について説明できる▽代表的なアレルギー・免疫疾患に関する疾患を挙げることができる――などの到達目標を掲げていることに触れ、薬系大学は教育カリキュラムを策定し、アレルギー疾患に関する教育の充実を図るよう求めた。
アレルギー患者が自己管理を行うに当たっては、薬剤師による適切な投薬管理や投与法の指導などが重要になるため、服薬指導の資質向上に資するような薬剤師向け研修会の開催などの取り組みも「期待したい」としている。
一方、研究開発の最優先の目標として、「難治性アレルギー患者に対する有効な治療法の開発」を掲げ、関係学会などと連携し、標準治療では疾患管理が困難な患者に対する治療法の確立も目指す。