災害などの緊急時に、海路から迅速に医療サービスを提供する「病院船」の建造を推進する超党派の議員連盟が12日、発足した。
会長の衛藤征士郎衆院副議長(自民)によると、大学病院クラスの高度な医療設備を備えた船を作る構想で、平常時には離島での医療活動や、海外での緊急災害支援にも活用できる。建造には数百億円かかると見込まれるが、議員立法による対応も視野に実現を目指すという。
世界では米国、中国、ロシアなどが病院船を保有しているが、日本にはない。東日本大震災で医療施設が損傷し、被災者が治療を受けられなかったり、交通網が遮断して、救急医療活動を行う医療従事者が集まることができないなどの事態が起きたことを踏まえ、議連が立ち上がった。
阪神・淡路大震災の後にも構想が浮上したが、当時は政府・与党内での議論で終わっていた。
衛藤氏は「今回は超党派。特別措置法も考えられる」と話す。当面は調査費を政府に要求する方針で、基本設計、母港、医薬品のストック基地などの具体的な内容を詰めていきたい考え。