厚生労働省は、「睡眠薬の臨床評価方法に関するガイドライン」の改訂案を公表した。現行ガイドラインが通知された1988年から、20年以上が経過しているため、新たな作用機序を持つ薬剤の登場や開発環境の変化などを踏まえ、不眠症に関連する効能・効果を取得しようとする「睡眠薬」について、現時点で妥当と考えられる臨床試験の計画、実施、評価の方法を示している。7月5日までパブリックコメントを募集する。
非臨床試験では、効力を裏づけるために試験管レベルで、神経伝達物質の受容体に対する作用、トランスポーターへの結合阻害作用、再取り込み阻害作用を調べ、動物試験で睡眠誘発や睡眠覚醒パターンを検討するよう求めている。安全性の観点では、学習・記憶に対する作用や、依存性の検討を促している。
臨床試験では、試験デザインの基本的考え方として、「プラセボ対照無作為化二重盲検並行群間比較試験を実施し、有効性および安全性を検討することが必要」と指摘。探索的試験や検証的試験については、一般的な投与期間を「有効性および安全性評価の観点から2~4週間」とし、対象患者から一般身体疾患や他の精神疾患による二次性不眠症を除外することとした。二次性不眠症患者は長期投与試験等に組み入れる。
有効性評価については、入眠困難などの不眠症状のほかに、翌日の身体機能障害も確認する。ポリソムノグラフィによる評価は、対象患者の普段の就寝時刻に近い時間帯で行い、8時間以上記録することを推奨している。
安全性評価については、不眠症治療で注目すべき有害事象として、神経系障害・精神障害、離脱症候群・依存性、認知機能への影響、内分泌機能への影響を挙げている。