三菱化学メディエンスは、心疾患診断領域で米国市場に本格参入する。心筋マーカーのトロポニンI測定試薬「パスファーストcTnI」の米国承認を取得し、BNPやミオグロビンなど、心疾患診断のための主要な6種の血液検査試薬を揃えた。今後、販売提携先を確保し、2012年初旬に機器と試薬の米国販売をスタートさせる。体外診断薬・機器の販売を手がけるのは米国では初めてで、アジア・欧州地域で実績のあるパスファーストを投入し、事業基盤の構築を目指す。
パスファーストcTnIは、化学発光法を原理とする専用機器「パスファースト」を用いて、心筋細胞の壊死によって血液中に漏出する、トロポニンを測定する体外診断薬。FDAはガイドラインを改定し、昨年10月に承認製品も含めた全てのトロポニン試薬に対し、新たな手順による再臨床試験を求める通知を出していたが、同製品は最新の臨床試験手順で承認された第1号製品となる。
トロポニンI測定試薬の承認取得により、心疾患の診断で主要な6種の血液検査項目について、全ての試薬を揃えた。既に日本を含むアジア・欧州地域では、パスファーストで約1000台の出荷実績があるが、今後米国市場でも、販売提携先の協力を得て拡販に取り組む。15年には米国売上高5~6億円の達成を目指す。