医薬品開発の専門家が集結し、様々な問題解決を手がける創薬支援集団「創薬パートナーズ有限責任事業組合」(ODDLLP)が設立された。日本で初めてとなるLLPには、創薬に精通した7人のパートナーが参画し、対等な立場で柔軟なコンサルティングを行う。ターゲットはバイオベンチャーや中小製薬企業と位置づける。薬物動態分野に強いパートナー集団の豊富な経験を生かし、候補化合物の絞り込みや安全性評価など、開発戦略の重要局面で適切な助言を提供するのが狙いだ。
創薬パートナーズは、日本で2005年に解禁されたLLP方式を採用した支援集団。LLPは、有限責任事業組合とされ、出資金の範囲で責任を負うほか、利益配分や運用方法を自由に決められるなど、株式会社に比べて活動の柔軟性が高い。
そこで、新薬開発に関わる問題を解決するという同じ目的に向け、専門性の高い自由な活動を行うためには、LLP方式が最適と判断。元三共で分析代謝研究所長、欧州現地法人社長を歴任した田中實氏をはじめ、7人の有志がパートナーとして参画。日本で初めて創薬支援集団としてのLLP設立を決めた。
最大の特徴は、それぞれ独立したパートナーが得意分野を持ち、長く製薬企業で培った豊富な経験を背景に、様々な相談に適切なコンサルティングが実施できることにある。特に薬物動態分野を強みに、候補化合物の選択や安全性評価、薬事相談など、内容に応じて複数のパートナーが対応するほか、グローバル開発に精通したコンサルタントを多数起用。チームワークによって、顧客の問題解決やトラブル回避に対し、適切な助言を提供していきたい考えだ。
代表パートナーを務める田中氏は、「われわれは、これまで創薬の実務に携わってきたメンバーばかりで、過去に開発で行き詰まった事例、失敗した事例を多く経験している。それを繰り返さないために、様々な形で問題解決の役に立てるのではないか」と話す。
今後、LLPの活動を本格化させることになるが、パートナーとネットワークを構成するコンサルタントを30人程度まで増員する計画。近くキックオフミーティングを開催し、顧客獲得に向けて、製薬企業やバイオベンチャーに広くアピールしていく。
田中氏は、「LLPとして、これまでの組織とは違う部分を見せることができる活動をしていきたい」と意気込みを語っている。