厚生労働省は6月30日、2010年度の医療用医薬品取引実態を、1年振りに開催した流通改善懇談会に報告した。取引形態は全品総価が減って若干是正されたものの、一次売差マイナスは拡大し、未妥結・仮納入期間は長期化したことが分かった。
総価取引の是正では、卸サイドは10年度に試行が始まった新薬創出・適応外薬解消等促進加算の対象品目など、価値のある医薬品を総価から除外したり、単品単価を目指した。その結果、全品総価は前年度から減少して解消に近づいた。ただ、単品総価への移行が多く、単品単価の増加はわずかにとどまり、売上高でみた総価取引の割合は、依然として大規模病院の5割、大型調剤薬局チェーンの7割を占める。(表1)[PDF]
メーカーと卸の川上取引では、仕切価の高い品目の売上げが伸びたことを背景に、仕切価の平均的な水準は対薬価で0・3%上昇した。一方、最終ユーザーの医療機関・薬局との川下取引では、卸が09年度に8・4%に達した薬価差の縮小を図った。しかし、納入価は0・2%下落し、一次売差マイナス幅は0・5%悪化した。薬価差も0・2%広がり、卸の粗利率は0・7%落ち込んだ。(表2)[PDF]
卸が納入価を回復する方針で交渉に臨んだ結果、2年前に70・9%まで改善した薬価改定半年後の妥結率は、46・7%へ後退し、4年前の状況に戻った。(表3)[PDF]