「保管スペース」問題を解消
在庫管理機能が大きな貢献
会営かずさ薬局(堀内剛代表取締役)の桜井店は、千葉県木更津市、内房なぎさライン沿いにある。かずさ薬局が運営する3店舗の中では最も新しく開設された店舗で、主に隣接する君津中央病院の処方箋を受けている。同病院は総合病院のため、処方内容が多岐にわたり、在庫管理や薬歴の保管など、薬局内のスペースの問題に直面していたが、優れた在庫管理機能を有する調剤向けレセコンを導入したことなどによって、そうした問題を解消。業務の効率化を図ると共に、患者サービスの向上に取り組んでいる。
かずさ薬局桜井店が開局したのは2000年6月のこと。オープンから11年が経過している。従業員は、薬剤師が7人(正社員5人、パート2人)と、事務員が3人(正社員2人、パート1人)という構成で、曜日や混雑予想に応じて必要人員を配置している。
1日の平均処方箋枚数は約110枚で、隣接する君津中央病院が約97%を占める。かずさ薬局総務部長で薬剤師の{木+夘}井明良氏は、「枚数だけで考えると、薬剤師数は3人でも対応できると思うが、君津中央病院は総合病院で、処方内容は広範囲にわたり多科受診の患者さんも多い。近年は、60日、90日など長期処方も増加傾向にあるので、その分スタッフを注ぎ込んでいる」と話す。
処方内容が多岐にわたることや、桜井店が備蓄センターにもなっていることなどから、薬局開設後まもなくは、在庫が増え、保管スペースの問題を抱えていた。そのため、在庫管理機能があり、しかも処方入力や調剤業務における作業の使い勝手などの面から、シンプルな入力方法のシステムがないかと探し求めた。
そこで桜井店が04年に導入したのが、EMシステムズの調剤向けレセコン「Recepty」。さらに導入から5年が経過した09年10月には電子薬歴「Navity」機能を搭載した「ReceptyNEXT」を導入した。
発注作業を大幅に短縮‐忙しい時ほど効果発揮
{木+夘}井氏によれば、電子薬歴機能を搭載した「Recepty NEXT」を導入したことで、「薬歴を保管するスペースが必要なくなった」という。また、「Receptyに追加される機能はたくさんあったが、入力方法などは大きな変動がなかったので、非常に入りやすかった」と評価する。「Recepty NEXT」に関して{木+夘}井氏が優位性を強調するのが在庫管理機能。桜井店では、在庫管理の問題を抱えていただけに、業務の効率化に大きく貢献している。
その優れた機能の一つに、それぞれの薬品に対し“発注点”を設定し、各卸にオンライン発注できる点がある。設定した発注点を割り付けた品目を、画面上でリアルタイムにリストアップすることができるため、桜井店では在庫確認などの手間を、大幅に省くことにつなげている。さらには、在庫履歴を見ることも可能で、月ごとの動きや季節的な変動に対しても、無駄のない的確な発注を行っている。
{木+夘}井氏は、「この機能によって、普段の在庫金額も抑えられている。また、欠品なく患者さんに薬が行き渡るということも可能になった」と強調する。また、「発注の作業時間も大幅に短縮でき、それによって薬歴をしっかりと書くことなど、患者サービスの向上にもつながっている。忙しければ忙しい時ほど、効果を発揮する機能だ」と語る。
こうした在庫管理の機能に加え、「Recepty NEXT」は様々な機能を有し、さらに薬局等の要望に応える形でバージョンアップも重ねており、常に進化している。
{木+夘}井氏は「導入時の初期設定など大変な面もあるかもしれないが、将来のためにと腹をくくって導入すれば、絶対にプラスになる」との考えを示す。また、EMシステムズが開催するセミナーなどに参加し、使う側が学んでいくことの重要性も指摘する。
かずさ薬局の3店舗では、レセコン上の患者データを、自宅のパソコンや携帯電話からも閲覧できる「ReceptyN E X T」のオプションであるASP(ApplicationService Provider)サービス「Mobility」を採用。患者への24時間対応に活用している。
各店でデータを共有化
かずさ薬局の3店舗はまた、ASPサービスの「NET‐α」でデータを共有している。「NET‐α」は、ネットを介してグループ各店のデータを共有するもの。
{木+夘}井氏は、「各店の在庫状況を確認できるため、店舗間の薬の移動やデッドストックのチェックなどもスムーズに行っている」と話す。また、「各店の時間帯別処方箋受付枚数をリアルタイムに確認できるので、忙しい店舗へのスタッフ派遣などにも活用している」と評価。かずさ薬局グループ全体での業務の効率化・合理化にもつなげている。
株式会社EMシステムズ
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