厚生労働省は、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミック)に備えたプロトタイプワクチンの開発等に関するガイドラインを策定する。医薬基盤研究所の山西弘一所長らの研究班がまとめた案について、9月3日までパブリックコメントを募集し上で、通知する予定だ。
政府の行動計画では、新型インフル発生後にウイルス株が同定されてから、6カ月以内に全国民分のパンデミックワクチンを製造することが、目標として掲げられている。
研究班のガイドライン案は、短期間で必要なワクチンを開発するために、事前にモデルウイルスを用いたプロトタイプワクチンを開発して承認を取得し、パンデミックが発生したら、製造株以外はプロトタイプと同じ方法でパンデミックワクチンを製造する流れを描いている。
プロトタイプワクチンについては、ヒトに流行していない新規ウイルス株を使用し、添加する保存剤の量を最小限にとどめることや、アジュバントの品質情報を申請資料に含めることなどを留意点に挙げた。
非臨床試験では、妊婦がワクチン接種することを想定して、生殖発生毒性の評価を行う。
臨床試験は、1回接種で十分な免疫反応が誘導されない可能性を踏まえ、「2回接種を検討することが考えられる」とした。免疫原性評価は、プロトタイプワクチンの特性やパンデミックワクチンに期待される免疫賦活化の機序を踏まえて、客観的に評価し得る適切な評価指標を設定する必要性を指摘。安全性評価は、発現頻度1%の有害事象を95%以上の確率で、少なくとも1例検出するのに十分な被験者数で行うよう定める。
パンデミックワクチンへの株変更は、原則として品質および非臨床試験成績に基づいて、新規承認を迅速に取得する。非臨床試験では、少なくとも1ロットで動物試験による免疫原性を評価して、プロトタイプの成績と比較するよう求めている。