2012年がスタートした。医薬品小売業界にとって今年5月末には改正薬事法施行から3年目を迎え、新医薬品販売制度対応のための経過措置期間も終了する。薬局・店舗販売業ともに、法律を遵守した販売を通じて、国民のセルフメディケーション推進に寄与することが求められる。そのためには薬剤師はもちろんのこと、登録販売者のあり方は、新販売制度を大きく左右するカギを握る。
現在、登録販売者の認定では各都道府県で08年度から試験が実施され、今年度には全国で延べ10万人を超える合格者を輩出する勢いだ。現在、薬局に従事する薬剤師は約14万5000人(10年12月末時点・厚生労働省調査)。さらに、薬事関係業態数調(11年3月末時点)によると、店舗販売業2万1000軒、薬種商販売業1224軒である。これらを考慮しても今や登録販売者総数は、一般薬販売に従事する薬剤師数に限りなく近い状況が見てとれる。
現在、一般薬の第2類、第3類の添付文書には薬剤師と並んで登録販売者が相談対象者として記載されるなど、医薬品についての専門知識が常に要求され、それに応じた資質を継続して保ち続けていなければ販売に従事できないという存在とも言える。登録販売者は、試験で一定の知識を有する者として認定されている。ただ、生命関連商品である医薬品を扱うには、日々変化する環境への対応や、副作用情報等の新たな知識習得が必須となるが、販売業者には登録販売者に対する研修の実施が義務づけられているだけだった。
昨秋、厚労省は登録販売者の研修実態状況を把握するための先行調査を実施、昨年末には登録販売者の資質向上に関する外部研修ガイドライン(案)をまとめた。
同GLでは外部研修の受講対象者を、パートを含めた全ての登録販売者に対し、毎年12時間以上、定期的・継続的に実施することを求めている。研修の実施機関は、研修修了の認定を適切に行い、修了証の交付を行うと共に、研修参加者の氏名、研修内容などを適切に記録・保存することなどを規定している。
あるドラッグストア企業の登録販売者に対する社内調査では、資格取得後も継続して勉強している人は約60%と、必ずしもその割合が高くなかったという。さらに、勉強している人の中でも、1週間のうちで勉強時間は1時間以内で、その勉強時間について不足しているとの認識も強かったようだ。さらに、この企業の場合も社内で研修を実施する対象者は正社員に限られていたという。
今後は、時給で働くパートであれ、正社員であれ、こうした登録販売者の医薬品販売専門家としての資質向上施策が、国民全体の医薬品の安全性確保と適正使用の推進に少なからず寄与していくことは間違いない。薬局、店舗販売業などの店舗開設者の真摯な取り組みを期待したい。