厚生科学研究「被災者の健康状態等に関する調査に係る研究班」(研究代表者:林謙治国立保健医療科学院長)がまとめた、東日本大震災被災者の健康状態に関する調査によると、岩手県と宮城県の被災者で、睡眠障害の疑いがある人の割合は約4割で、全国平均の約3割より高いことが分かった。震災から1年が経過し、地域医療が復旧しつつある中、不安・抑うつ症状を訴える被災者のメンタルケアの重要性が浮き彫りとなった。
調査対象となったのは、岩手県が陸前高田市、山田町、大槌町の3市町の約1万人で、宮城県が石巻市の雄勝・牡鹿地域および網地島、仙台市若林区の3地区約6500人。
昨年6月から今年2月にかけて、健診データに加え、疾病罹患状況、睡眠、心理的苦痛のスクリーニングテスト、経済状況などについて、震災の前後でどのよう変化が生じたかを調べた。10年間のコホート研究。
アテネ不眠尺度を用いて計測した睡眠障害の疑いがある人の割合は、若林区46・8%、雄勝・牡鹿42・5%、網地島20・0%、山田44・1%、大槌40・0%、陸前高田38・0%で、過去の全国調査の28・5%に比べて高かった。失業や経済状況の悪化、避難所を移るなど転居回数が多いほど、睡眠に問題を抱える傾向もみられた。