薬事・食品衛生審議会指定薬物部会は18日、違法ドラッグに含まれる中枢神経系の作用を持つ成分を「指定薬物」に指定して一般での製造販売を禁止する制度について、海外で流通実態のある成分を国内に流入する前に指定すると共に、これまで年間1、2回だった指定の頻度を増やすことを決めた。また、化学構造が類似する成分を網羅的に規制する「包括指定」の本格的な検討にも着手した。
現在、指定薬物は68成分だが、新たな成分を指定しても化学構造を少し変えた成分がすぐに出てくる“イタチごっこ”の状況が続いている。そこで厚生労働省は指定手続きの迅速化を同部会に提案し、了承された。
まず、従来は国内での流通を確認してから指定していた運用を見直し、海外で規制の根拠となった論文などのデータを活用して国内での流通を確認する前に指定する。
また、指定の可否を審議する同部会の開催回数を増やし、規制がかかるまでの期間を短縮する。昨年は6カ月程度の間隔を開けて2回指定したが、今後はデータが揃ったものから順次指定してく方向だ。
一方、包括指定の考え方は、薬害肝炎検証検討委員会の最終提言を受けた医薬品等制度改正をめぐる議論の中で課題として浮上。同部会でも昨年8月の会合で検討を進める方針を確認していた。
今後、厚労科学研究班で化学構造の類似性、中枢神経系作用の予測可能性に関する知見を整理した上で、秋以降に同部会で具体的な物質群の案を検討する。