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【抗リウマチ薬】第2世代の生物学的製剤が登場間近

2007年5月7日 (月)

開発が期待される抗RA薬が数多く発表された
開発が期待される抗RA薬が数多く発表された

 第51回日本リウマチ学会が4月26029の4日間、横浜市のパシフィコ横浜で開かれた。生物学的製剤のインフリキシマブ、エタネルセプトを用いる関節リウマチ(RA)の治療成績が数多く報告され、使用経験の蓄積を踏まえて様々な課題が話し合われた。また、抗TNF療法の無効例に対し、免疫系に関わるT細胞を標的とした“第2世代”生物学的製剤の開発状況も報告されたほか、IL‐15を標的とした薬剤の研究結果も発表され、革命的進化とまで言われたRA治療が、さらなるパラダイムシフトを迎えつつあることが示された。

■IL‐15の制御やCTLA4刺激にスポット

 RA治療は、抗リウマチ薬メトトレキサート(MTX)+TNF阻害薬インフリキシマブの「ゴールデンスタンダード」が浸透しつつあり、今や完全寛解を目指すことが現実の目標になっている。最近登場したヒト型可溶性TNFレセプター融合蛋白のエタネルセプトの使用経験も積み重なってきており、学会でも単剤で高い有効性を示すことが報告された。また、ヒト型抗TNF抗体のアダリムマブも、わが国で実施された第II/III相試験で、欧米と同等の成績を得たことが報告され、来年にも承認の見込みとなっている。ただ、いずれも重症感染症の頻度が高まることが報告されており、学会でも、ニューモシスチス肺炎などの重篤な副作用経験例が多くの施設から報告された。

 このようにRAの臨床現場は、次々と新たな治療手段を手に入れる一方で、生物学的製剤を用いても抵抗性を示す患者の対応に追われているのも事実だ。こうした中、免疫系の主役を担うエフェクターT細胞の活性化を阻害する生物学的製剤アバタセプトが注目すべき成績を見せている。

 アバタセプトは、T細胞活性化に欠かせない抗体産生細胞側のCD80/86とT細胞側のCD28の結合阻害が機序で、エフェクターT細胞の活性化を抑制する完全ヒト型のCTLA4と免疫グロブリンの融合蛋白。CTLA4はCD28ファミリーに属するT細胞補助シグナル分子で、現在では免疫反応の終息に働いていると考えられている。実際、MTXで効果不十分な患者を対象に実施された海外の第III相試験では、10mg/kgの単剤投与で、1年後にはほぼ寛解に近い状態を示す指標のACR70が約25%に達している。また、TNF‐α阻害薬の無効例にもアバタセプトは著効を示すことが海外の第III相試験から分かっており、今後、早期RAへの効果の検討が待たれている。アバタセプトは、わが国でも現在第III相試験が進行中だ。

 ただ、作用は異なるが、同じT細胞補助シグナル分子のCD28に結合して、制御性T細胞を活性化させる生物学的製剤として開発が進められたスーパーアゴニスト抗CD28抗体(TGN1412)は、第I相試験で全例に重篤なサイトカインストームが発生し、治験中止に追い込まれた経緯がある。この事件は世界的にも衝撃を与えたことから、現時点では制御性T細胞を標的とした治療法開発は難しいと考えられている。

 また、TNF‐α阻害剤に抵抗性がある関節リウマチ患者を対象にキメラ抗体のリツキシマブを投与した海外の臨床試験の成績も報告された。

 リツキシマブは、B細胞に特異的に発現しているCD20に結合することで、イムノグロブリンの産生、抗原提示機能、炎症性サイトカインの産生を抑えるという。国内では、CD20陽性のB細胞性非ホジキンリンパ腫として承認されている。

 海外の臨床試験の結果からは、リツキシマブがMTXとの併用でACRを有意に改善することが確認されている。ただ、国内での開発スケジュールは現在のところ未定だ。

 また、キメラ抗体の投与による中和抗体の発生が懸念されることから、海外ではヒト化抗体のオクレリズマブ、ヒト抗体のオファツムマブが欧米でPI/IIが実施されていることも報告された。

■併用療法での相乗効果に期待

 このように、既存のTNF‐α阻害剤に抵抗性を持つ患者に対する生物学的製剤が登場しているが、治療費が高額なことや、重篤な副作用の発現頻度が高いといったデメリットもある。そのため、副作用が少なく、有効な治療薬の研究が進められている。その一つが関節リウマチにおける関節破壊などの病態悪化に関与するIL‐15、IL‐17を標的とした経口投与型の抗関節リウマチ薬のY‐320。

 IL‐15は、関節リウマチ患者では滑膜細胞/滑膜繊維芽細胞から産生される。IL‐2と同じく生体内の免疫機構に関わるT細胞を活性化する。一方、IL‐17はIL‐6やCCL2、TNF‐αといった炎症性サイトカインの産生を促し、IL‐15と共にTNF‐αを誘導する。IL‐15、IL‐17は、関節での前駆的な炎症性サイトカインの役割をもち、病態進行の重大な役割を担っていると考えられるため、治療標的として有望視されている。

 Y‐320は、IL‐15によるCD4陽性T細胞の活性化を抑え、IL‐17の産生を阻害、関節破壊などの症状を抑制すると考えられている。

 関節リウマチのモデル動物であるII型コラーゲン誘導関節炎を発症したDBA/1JマウスにY‐320を0・303mg/kg投与した成績では、対照群と比べて関節破壊の進展を抑制。また、臨床的な治療効果があるかどうかを把握するため、RAモデルマウスを作製後、8週間目でY‐320を投与し、関節炎スコアや四肢の腫脹などを評価した結果、発症後9週目には症状を有意に改善したとの成績が得られている。

 さらに、TNF‐α阻害剤との併用で、単剤投与に比べて顕著に四肢の腫脹や関節炎に対してより高い治療効果を示したことから、生物学的製剤との併用で相乗的な治療効果が得られることも示された。

 そのほか、II型コラーゲン誘導関節炎を発症したカニクイザルに対し、Y‐320を1mg/kg投与した非臨床試験では、投与後4週以降に症状を有意に改善したことが確認された。さらに、12週目の投与終了後にも、症状の悪化がみられなかったという。

 Y‐320は、非臨床段階にあり、研究を進める三菱ウェルファーマでは、今後、約1年間にわたる毒性試験を実施する予定だとしており、毒性試験の結果をふまえ臨床入りさせるものとみられる。




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