東大、慶大グループが解析
東京大学医科学研究所と慶應義塾大学の研究グループは、2009年に起こった「漢方薬の保険外し」への反対署名にソーシャルメディアが世論に与えた影響を数理モデルで解析することに成功した。その寄与度はツイッターが26%、インターネット掲示板が52%と8割近くに上り、大きな影響を与えたことが明らかになった。研究成果は7日、米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。
これまでソーシャルメディアが世論や政治に与える影響は大きいと考えられてきたが、その影響の定量化は難しかった。今回、研究グループは、09年の事業仕分けを発端に起こった漢方保険継続運動において、同時期に爆発的な増加を示した電子署名に着目。ソーシャルメディアが世論に与える影響を定量化するため数理モデルを構築し、9万5000人の電子署名が寄せられた原動力の背景を解析した。
その結果、署名数増加のピークは2回認められ、初回はツイッター、2回目はインターネット掲示板の影響が大きかったことが明らかになった。それぞれの寄与度を見ると、ツイッター26%、インターネット掲示板52%であり、署名数全体のうちソーシャルメディアの寄与度は8割近くに上った。
研究グループは、ツイッターが署名数爆発の引き金を引き、インターネット掲示板がそれに続き、最終的に漢方薬の保険継続という医療政策決定に大きく寄与したと分析している。