TOP > 企画 ∨ 

【台湾の受託産業】発酵技術で天然物創薬支援‐パンラブスバイオロジクス

2014年01月23日 (木)

プロセス開発から技術移転まで

宋氏

宋氏

 発酵技術に強いパンラブスバイオロジクスは、製薬企業の天然物創薬をサポートする。1976年に設立し、菌株の大量培養や品質安定化技術をもとに、これまで数百件のプロジェクトを受託。今後は、バイオベンチャーに対して、菌株改良から大量培養までの製造プロセスを開発し、顧客の必要に応じて技術移転する包括的なサービスを提供していく考えだ。宋台生総経理は、「ベンチャー企業が発見した新しい菌株から、革新的な医薬品を創出できるようにしていきたい」と話す。

 同社は設立後、1995年に米MDSファーマに統合され、発酵部門として「MDSパンラブス」に改称。2005年にMDSからスピンアウトしてパンラブスバイオロジクスが誕生した。世界各国の製薬・化学・バイオ・食品メーカーに対し、発酵技術を活用したサービスを提供している。宋氏は、「発酵技術による創薬支援では、世界のトップを走っている」と自信を示す。

 製薬企業が保有する菌株を改良し、有機合成だけでは培養が難しい目的化合物を、発酵技術と有機合成を組み合わせた製造プロセスにより、安定した品質で収率良く製造する。発酵に精通した研究者を揃え、コスト競争力のある製法で短期間のうちに、目的化合物を大量培養できるのが強みである。

 自社設備として、5L、10L、30L、125Lの発酵タンクを持つほか、2万4000種類の豊富な天然物ライブラリーを通じて、製薬企業の新薬探索研究に役立てる。これまで年に9~10件、数百件以上のプロジェクトを受託。米バイオ企業から依頼された案件では、粘性の高い遺伝子組み換えアスペルギルス株から、わずか3カ月で活性の高いラクトフェリン蛋白質を抽出するのに成功した。抗癌剤開発をターゲットに挙げ、台湾のGE薬大手企業と提携している。

 製薬大手にはサービスが浸透している一方、中国などの新興国市場に照準を合わせ、バイオベンチャー向けに創薬支援サービスを展開していく方針。菌株の改良から大量培養のスケールアップ、品質保証まで検証した上で、依頼者に製造プロセスの技術移転を行う包括的なサービスで差別化を狙う。

 発酵創薬で世界をリードしていた日本だが、アステラス製薬が撤退するなど以前とは状況が変化している。しかし宋氏は、「創薬のトレンドにもサイクルがあり、欧米製薬企業では発酵研究に再参入する動きも出ている」と述べ、今もなお発酵技術が重要な創薬アプローチとの認識を示す。40年の歴史で、技術的なノウハウは十分に蓄積しており、学会などを通じて、サービス認知に向けたプロモーションを強化していく考えだ。


この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2014年1月1日特集号‐時の話題‐に掲載された記事です。



‐AD‐

同じカテゴリーの新着記事

薬剤師 求人・薬剤師 転職・薬剤師 募集はグッピー
HEADLINE NEWS
ヘルスデーニュース‐FDA関連‐
新薬・新製品情報
人事・組織
無季言
社説
企画
訃報
寄稿
新着記事
年月別 全記事一覧
アカウント・RSS
RSSRSS
お知らせ
薬学生向け情報
書籍・電子メディア
書籍 訂正・追加情報
製品・サービス等
薬事日報 NEWSmart
「剤形写真」「患者服薬指導説明文」データライセンス販売
FINE PHOTO DI/FINE PHOTO DI PLUS
新聞速効活用術