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【薬局業務の効率化と質的向上をめざして】みやこ薬局大宮店(EMシステムズ)

2014年07月30日 (水)

調剤過誤防止にシステムを導入‐安心・安全な医療を実現

みやこ薬局の7番目の薬局として開局した

みやこ薬局の7番目の薬局として開局した

 みやこ薬局大宮店(京都市)は、調剤過誤を防止し安全性を向上させるために薬剤自動識別照合システムを導入した。薬剤師が取り揃えた薬の種類や数が処方データに合致しているかどうかを自動的に識別するこのシステムを、鑑査の前段階に活用。間違った薬が患者に渡ってしまうのを未然に防ぎ、安心・安全な医療を実現させている。

 同店は、京都市内に7店舗の薬局と一つの居宅介護支援事業所を展開するみやこ薬局(本社京都市山科区)が、7番目の薬局として2012年4月にオープンした。薬剤師2~3人体制(登録薬剤師5人)、事務員1人体制で近隣診療所からの処方箋を応需。在宅医療に力を入れるみやこ薬局の特色を背景に、同店でも5カ所の高齢者施設の在宅患者約80人を担当し、各施設を週1回訪問している。

右から西村氏、小山氏

右から西村氏、小山氏

 同店がEMシステムズの薬剤自動識別照合システム「EM Audy」を導入したのは12年10月。それまでみやこ薬局は社内に設けた医療安全管理委員会で、インシデント事例を共有化し、間違いやすい薬は離して調剤棚に配置するなど様々な調剤過誤防止策を実施してきた。一定の成果はあったが「慣れてしまうと、また取り間違いが発生していた」とみやこ薬局社長の西村公男氏は振り返る。

 現状よりもさらに安全性を高めたいとして、システムの導入を検討。携帯端末を使いピッキング時にバーコードを読み取って照合するシステムなど各種候補の中から、「同時に種類も数も鑑査できるEM Audyを1店舗で試験的に導入することを決めた」と西村氏は語る。

最も避けたいのは規格間違い
複数の薬剤を載せたトレイを装置にセットし照合ボタンをタッチするだけで、数秒程度で照合結果が表示される

複数の薬剤を載せたトレイを装置にセットし照合ボタンをタッチするだけで、数秒程度で照合結果が表示される

 「EM Audy」は、薬剤師が取り揃えた薬の種類や数が、処方データに合致しているかどうかを自動的に識別するもの。トレイ上のPTPシートや外用剤、点眼剤の画像を装置内のカメラで撮影し、薬の形や輝度を識別する高度な画像解析技術によって照合。同時に電子天秤で重さを測定し、トレイ上に何の薬がどれだけ載っているのかを総合的に判断する。複数の薬剤を載せたトレイを装置にセットし照合ボタンをタッチするだけで、数秒程度で照合結果を表示する。

 「EM Audy」の導入効果について同店薬剤師の小山裕之氏は「安心・安全が得られるのは大きい。人間の目ではなく機械の目なので、間違いがあればはっきり示される。間違いに優先順位はないものの、最も避けたいのは、重篤な事故につながりかねない規格間違い。それをまず間違いなく防止できるのが一番良かった」と話す。

 同店では薬剤師の目でも改めてしっかり鑑査を行っている。「EM Audy」でのチェックを追加することによって鑑査に要する合計時間は少し増すものの、「だからといって間違いを見過ごすわけにはいかない」と小山氏。安全性を高めるために必要な工程と位置づけている。

 実際に「EM Audy」導入後、薬剤師の人為的な見過ごしを除くと、規格や数量を間違った薬を患者に渡してしまったアクシデントは発生していない。

 また、「EM Audy」の導入には、レセプトコンピュータへの処方データ入力のミスを発見できるという「二次的な効果もあった」と西村氏は話す。

 薬剤師は処方箋の原本をもとにピッキングを行う。一方、「EM Audy」はレセコンに入力された処方データをもとに照合を行う。薬剤師のピッキングに間違いはないのに「EM Audy」がエラーを発する場合は、レセコン入力のミスがあると考えられる。「ジェネリック医薬品への変更が非常に多い。それがレセコンでの入力に反映されていない場合も発見できる」と小山氏は語る。

 このような「EM Audy」の有用性について小山氏らは京都薬科大学と共同で検証し、今年3月の日本薬学会年会で発表した。

電子薬歴で識別履歴を閲覧
電子薬歴画面上でも、撮影した画像など過去の識別結果を閲覧できる

電子薬歴画面上でも、撮影した画像など過去の識別結果を閲覧できる

 「EM Audy」で識別した結果は、同システムのタッチパネルだけでなく、同社のレセコン「ReceptyNEXT Type2」の電子薬歴画面上でも閲覧可能だ。履歴を振り返って調剤に間違いがないことを改めて確認できる。「薬の数が足りない」など患者から連絡を受けた際にも、「EM Audy」で撮影した薬の写真やデータを窓口の端末で見せて説明できる。このほか、同店独自の活用法として、一包化時に錠剤を取り出したPTPシートを撮影し、記録を残している。

 最近のバージョンアップにより、「EM Audy」の機能が向上したことも「要望がかなった。満足度は大きい」と小山氏は評価する。内服剤に比べ、外用剤の個々の重量の誤差範囲は大きいため、まれに照合エラーを生じる場合もあったが、外用剤の誤差範囲が改められ、より正確なチェックが可能になった。また、同一品目に複数の重量データを登録できるように改められたことから、密閉アルミ袋に分包されたPTPシートを袋のまま渡す場合の照合の精度が上がった。

 大宮店での活用実績と今回の機能向上を踏まえ「他店での導入に向けて検討を進めている」と西村氏は語る。

みやこ薬局大宮店(EMシステムズ)
http://www.emsystems.co.jp/



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