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【バイオベンチャーを探る2】カイオム・バイオサイエンス

2015年7月7日 (火)

完全ヒト抗体、短期で創出‐パンデミックに対応

藤原社長

藤原社長

 カイオム・バイオサイエンスは、わずか数週間でヒトに投与可能な抗体を創出する基盤技術「完全ヒトADLibシステム」を完成し、パンデミック感染症の治療薬開発を本格化させる。これが実現できれば、エボラ出血熱や新型インフルエンザなどウイルス感染症が発生した場合に、最初の流行段階で食い止めることができるという。藤原正明社長は、「一部の感染症ウイルスに対する完全ヒト抗体も取れており、第1関門は越えた」と手応えを語る。日本では危険度の高いウイルスの取り扱いに関して規制が厳しいことから、海外での感染実験を視野に入れ、感染症治療薬の開発に着手する。

 同社は、ニワトリ由来の抗体を作製する「ADLibシステム」を出発点に、昨年にはニワトリ由来の抗体ライブラリーをヒトの抗体に置き換える「完全ヒトADLibシステム」に技術を進化させた。藤原氏は、「プロトタイプ作製は予定より3カ月遅れてしまったが、ほぼ予定通りに完成させることができた」と話す。

 パンデミック感染症やバイオテロが発生した場合に、従来のワクチンでは緊急時対応で製造が間に合わない可能性がある。「完全ヒトADLibシステム」では、ワクチンよりも早く、大量に抗体を提供することが可能で、緊急時でも使える抗体医薬を目指している。既にインフルエンザウイルスやエボラウイルスの部分蛋白に対する抗体作製に成功している。

 ただ、新興感染症に対抗できる「完全ヒトADLibシステム」を構築するためには、ライブラリーの拡充が重要課題。初期のニワトリ由来抗体を作製する「ADLibシステム」に比べると、多様性に差があるという。「10の9~10乗程度」(藤原氏)の規模に高め、完全ヒト抗体ライブラリー構築を急いでいる。

 「完全ヒトADLibシステム」の多様化に成功すれば、技術導出というビジネスも見えてくる。製薬企業側で「完全ヒトADLibシステム」を用いて、狙った抗原できちんと抗体が取れるか検証した後、技術導出につなげる。

 一方、大学と連携し、癌領域でリード抗体開発も進めている。横浜市立大学と共同開発中の「抗セマフォリン3A抗体」は、当初敗血症をターゲットとしてきたが、一部の癌細胞でセマフォリン3Aによる転移関与を示唆するデータが報告されたことで、癌に効く可能性が出てきた。2013年にバイオベンチャーのリブテックを買収したことで、これまで外部委託していた動物モデル作製から薬効試験までの開発プロセスを内製化した。有効性データを集積し、今期中の導出を目指している。

 創業して10年を迎えた。従来の抗体技術では対応できない抗原に対し、ADLibシステムで攻略する研究開発にチャレンジし、ようやく事業化ステージに突入しようとしている。16年12月期には、売上34億円、営業利益6億5000万と本格成長、そして23年には、個々の患者に最適な抗体を迅速に提供する「オーダーメイド医療」を実現し、新規市場を掘り起こす。

カイオム・バイオサイエンス
http://www.chiome.co.jp/


この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2015年2月23日号に掲載された記事です。

バイオベンチャーを探る1 目次

バイオベンチャーを探る2 目次

バイオベンチャーを探る3 目次




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