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薬系大学、危機意識の共有を

2015年8月28日 (金)

 日本私立薬科大学協会がまとめた第100回薬剤師国家試験の試験問題の検証結果では、60%台前半にとどまった合格率について、「昨年に引き続き、合格率が極めて低い結果」と厳しい認識を示した。

 受験者全員が正解扱いとなる不適切問題と補正対象問題が14問と例年に比べて多かったことにも触れ、「学生が自己採点の結果で就職を辞退するなど、混乱を来した」と指摘し、事前の問題精査などを厚生労働省に求めた。

 今回、11問あった補正対象問題は、問題としては適切だが、受験者の正答率や選択肢問題の良否を決める識別指数などを考慮して全員を正解扱いにするというもので、厚労省のさじ加減による部分が大きい。

 薬剤師の需給に支障を来さないよう、厚労省が大幅な補正を行ったのではとの見方も出ており、不適切問題と補正対象問題がなかったとしたら、合格率はもっと下がり、懸念されていた50%台への転落、新卒70%割れも免れなかったのではないか。

 厚労省は今回の国試から、大学別の出願者数を公表している。国公立大学では、新卒出願者数707人に対し受験者数701人で、受験できなかった学生は6人。一方、私立大学全体では新卒出願者数9689人に対し、受験者数7745人。1944人が出願したものの、受験できなかったことになる。

 国公立大のように、6人くらいの未受験者であれば、体調不良などのアクシデントで受験できなかったのだろうと想像できるが、出願者のうち約20%が受験できない理由とは何であろう。

 実際に受験した人数と照らし合わせてみると、新設大学などを中心に出願者数と受験者数の差が大きい大学があることが確認できる。これでは、大学側による合格率の操作が行われていると見られても仕方がなく、この操作がなければ、合格率はもっと下がっていたに違いない。

 国試の合格率が低下した背景には、試験問題の難問化が指摘されており、その要因の一つに、いわゆる「思考型」の問題が増えたことが挙げられている。

 かつては、正解が分からなくても選択肢の消去などで解を導き出すことができたが、問題を解くに当たって「どう考えたか」というプロセスを問う「思考型」は、消去法では答えられない。

 うろ覚えが通用しない問題が増えたことにより、難問化したとの見方があるが、医療現場で活躍する薬剤師を養成するためには、身に付けた基本的な知識を使って問題を解決する能力を備えることは重要だ。6年制薬学教育のベースになる新しいモデル・コアカリキュラムでも、「問題解決能力の修得」というキーワードは、随所に見られる。

 いま、国が進めようとしている薬局の再編や機能強化は、そのまま薬学教育の現場にも共通して求められていることだ。関係者には、教育現場にも大幅な定員削減などの抜本的改革が不可欠になるという危機意識を共有してもらいたい。




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