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健康づくり支援薬局、OTC薬配置は再考の余地

2015年9月11日 (金)

 日本政府観光局の統計資料によれば、今年1月~7月までの訪日外国人の数は1100万人を突破。このうち約700万人は中国、韓国、台湾の近隣3カ国が占め、既に昨年実績を上回る勢いにあるという。

 特に中国人旅行客の『爆買い』などのインバウンド経済効果は、医薬品小売業界でも捨て置けない状況で、市街地のドラッグストアでは免税カウンターの設置や中国人向けPOPなどの店頭対応の動きも散見される。大型クルーズ船が寄港する九州地区では、インバウンド専用のドラッグストアもあると聞く。一方で、こうしたインバウンド需要の恩恵は、一部の市街地立地のドラッグストア等の量販店に集中し、一般店にとってはどこ吹く風といった状況にあるようだ。

 現在、厚生労働省では、その一般店が大半を占める薬局全般に、かかりつけ薬局としての認定制度を導入し、その取り組みを評価する形で、来年度の診療報酬改定の調剤報酬を大幅に見直す方向で検討を進めている。その大前提となる薬局の健康サポート機能などが「健康情報拠点薬局(仮称)のあり方に関する検討会」で協議されている。回を重ねる中で、当初の健康情報拠点薬局(仮称)の名称を、「健康づくり支援薬局(仮称)」に変更しつつ、その要件などを詰めている段階だ。

 その要件の一つとして示されているのが薬局機能のベースでもあるOTC医薬品の配置だ。先月26日の検討会で厚労省は、「要指導医薬品、一般用医薬品の取り扱い」の要件設定について、いわゆる売れ筋の品目のみではなく、万遍なく取りそろえるべきとの観点から、原則として80ある中分類につき2銘柄以上(合計160品目以上)とすることを要件案とした。これに対し、日本薬剤師会では倍の約300品目の設定を要件として求めていくようだ。

 ただ、このOTC薬の配置のポイントは、来年の診療報酬改定の中での評価次第という気もする。現在、多くの保険薬局の収益の柱は間違いなく調剤報酬であり、OTC薬などの物販の売上高はそれに及ばない。また、現状のOTC薬の流通状況を考慮するとその大半がドラッグストア等で販売されているという現状がある。

 厚労省が言うところの「売れ筋品目のみではなく」そろえるための薬局側の負担をどのように捉えればいいのだろうか。

 ドラッグストアが主流であるOTC薬販売ルートは、今に始まったわけではなく、規制緩和や生活者ニーズに対応した流れの中で出来上がってきた形である。もちろん、必要最低限のOTC薬の品揃えとしての要件なのかもしれないが、医薬品のネット販売解禁などを経ている以上、健康サポート機能の一つとして、地域の薬局でOTC薬を購入する流れが再び定着するかは懐疑的である。

 まずは、OTC薬の販売品目数まで、国が要件設定しなければ、健康づくり支援薬局の認定ができないというのも不自然だ。

 OTC薬の販売については、あるべき論と、現場の実情にあまりに乖離が大きい。今一度、検討の余地があるのではないかと思う。




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