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【バイオベンチャーを探る3】レジエンス

2016年01月07日 (木)

再生医療をサービスにする‐2016年には治験開始へ

村山正憲社長

村山正憲社長

 再生医療ベンチャーのレジエンスは、各大学から生み出された再生医療シーズを受け取って共同開発を進め、早期の実用化を目指している。2014年2月の事業開始からわずか1年半で七つの開発パイプラインをそろえ、2016年には複数の開発品目で治験を開始する計画だ。研究から開発、製造、販売まで自社で手掛け、海外での事業展開にも挑み、再生医療のビジネスモデルの確立を目指す。村山正憲社長は、「再生医療製品を上市することがわれわれのゴールではなく、患者に対して“再生医療のトータルサービス”を提供していきたい」と話す。

 同社は、大学や研究所との産学連携を通じて、再生医療製品の事業展開を推進している。シーズ導入の判断材料として「3年をメドに治験に入れるもの」を基準に、各大学にレジエンスから2~3人の研究者を派遣し、共同開発を行っている。

 事業領域については、iPS細胞由来の再生医療製品だけでなく、間葉系幹細胞、成熟細胞など全てを対象としている。村山氏は「やってみないと事業可能性を判断できないのが再生医療の難しいところ。事業機会は幅広く追求し、まずは試して可能性のある開発パイプラインが残っていけばいいと思っている」と述べ、失敗をしながら開発を進めていく“トライアンドエラー”の重要性を指摘する。

 最も先行しているのが、先端医療振興財団と共同開発し、スティーブンス・ジョンソン症候群を対象とした角膜上皮の再生医療製品「培養自家口腔粘膜上皮シート」。現在、臨床研究段階で早期の企業治験を目指す。

 さらに移植が必要な肝硬変に対しては、大阪大学、医薬基盤研究所とiPS細胞由来肝細胞、大阪市立大学とヒト正常肝星細胞、慶應義塾大学とはブタの体内で肝臓を作製し、ヒトに移植する治療法の開発を進める。ロート製薬、東京大学とは男性型脱毛症を対象に毛髪再生にチャレンジしている。このほか海外から導入した製品や、交渉中のパイプラインが10個以上あるという。

 なぜ、事業開始から短期間でこれだけの開発パイプラインを積み上げることができたのか。村山氏は、「再生医療に対する関心が高まり、基礎研究が進む一方で再生医療のプレイヤーはまだ少なく、
製薬大手も本格的に事業に乗り出しているわけではない。混沌としているから、チャンスがある」と述べる。「再生医療業界の中であまり認知されていない先生が有望なシーズを保有している。大学の先生方にアプローチをかけても競合なく導入できる」と自信を示す。

 再生医療製品の開発に向けては、「動物試験の技術開発が必要不可欠」と強調する。投与法や有効性・安全性検討にはマウスやラットでは難しく、ミニブタなどの中型動物が必要。ヒト細胞の培養も試験管内ではなく、動物の生体内に移植し、培養することで“安く、早く”開発を行う可能性を追求している。

 研究から開発、製造に至るまで裾野の技術を全て品揃えし、再生医療のリーディングカンパニーを目指す。人間の臓器を交換できる人工臓器となるような製品の実現にも挑む。「インターネット革命が起きて、いろいろなことができるようになったと考えれば、再生医療も医療の概念を変える可能性を秘める」と村山氏。

 臨床応用に向けて、異業種との連携も進めており、2015年6月にはデータシステム構築にノウハウを持った「アンリツ」と、再生医療用細胞と製品を投与される患者の管理システムを統合させ、再生医療のトータル管理システムの共同開発に着手した。

 製造・品質管理システムに、ビッグデータや人工知能などの最先端のIT技術などを統合させれば、再生医療製品の製造プロセス全自動化や遠隔からの製造工程管理も可能とみている。製造・品質管理コストを下げ、将来的には製品を出すだけではなく、個々の患者ニーズに対応したサービスへと昇華させるのがレジエンスの再生医療の方向性だ。

レジエンス
http://regience.jp/


この記事は、「薬事日報」本紙および「薬事日報 電子版」の2015年7月24日号に掲載された記事です。

バイオベンチャーを探る1 目次

バイオベンチャーを探る2 目次

バイオベンチャーを探る3 目次



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