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医薬分業“量から質”の時代に

2016年6月3日 (金)

 日本薬剤師会が先に公表した保険調剤の動向「2015年度調剤分(全保険・速報値)」によると、処方箋の受取率(分業率)が初めて70%を超えた。

 厚生労働省が1997年に37のモデル国立病院に対して指示した完全分業(院外処方箋受取率70%以上)を達成したことになる。14年度の調査で秋田県のみだった分業率80%超も3県に増え、医薬分業は一定程度進んだといえよう。

 当然、医薬分業の推進を急いだことによる弊害も出てきた。多くの保険薬局はいかに効率良く処方箋を集め、それらを捌くかに腐心するようになっていった。

 かくして調剤バッシングは巻き起こり、その火の手は勢いを増していく。昨年3月に「医薬分業」がテーマに取り上げられた規制改革会議の公開ディスカッションでは、会議側から「医薬分業の推進によって負担は増えたが、それに見合った薬局のサービスを受けられているのか」という疑問まで投げかけられてしまった。

 塩崎恭久厚労相が「病院の前の景色を変える」と発言したり、厚労省が「患者のための薬局ビジョン」を策定せざるを得ない状況になったのは、バッシングを沈静化するためだ。

 医薬分業の量的拡大を図ったことで生じた歪みを是正するための取り組みが、かかりつけ薬剤師・薬局であり、健康サポート薬局なのだろう。

 これからの医薬分業は、質への転換を余儀なくされているということを強く認識してもらいたい。

 先月、全国初となる健康サポート薬局の研修会が北海道で実施された。研修では、複数のケーススタディを実施し、グループごとに相談者にどうアドバイスすべきかを話し合い、発表した。

 印象的だったのは、厚労省の担当者が、相談者に適切な解決策を提案することも大事だが、答えが見出せないような相談内容でも、問題解決に向けて一緒に悩むという行為も重要だという趣旨の発言をしていたこと。

 思い起こせば、かつての薬局は地域住民からの相談を受けるという機能も果たしていた。地域包括ケアシステムにおいては、かつての相談機能を充実させるということを大きな柱に据えた上で、多職種としっかり連携し、適切につなぐという取り組みを進めていけば、薬局もその一翼を担えるに違いない。

 調剤バッシングで恥ずかしい目にあったという思いが強い薬局ほど、地域で必要とされる薬局になれると信じている。ぜひとも、量から質への転換を図るための糧にしてもらいたい。




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