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期待される災害時のMP活用

2016年8月12日 (金)

 今年4月の熊本地震からまもなく4カ月が経過しようとしている。今週はじめに熊本市を取材で訪れたが、市街地でも未だブルーシートで屋根を覆う家屋が散見された。8日の熊本県の発表によると公民館や体育館などで、不自由な生活を余儀なくされている避難生活者は未だに1918人(今月8日現在)いるようだ。そうした人たちが一日も早く、通常の生活を取り戻せるよう願ってやまない。

 一方で、今回の熊本地震では薬剤師による災害支援活動も積極的に行われた。後に前震とされた4月14日午後9時26分の地震発生の翌日午前8時半には、熊本県薬剤師会に災害対策本部を設置し、情報収集や被災地への薬剤師派遣などの指示等を行うため、会員の被災状況を把握。さらに、災害薬事コーディネーターを県対策本部に配置。震源地で、家屋倒壊の被害が多数発生した益城町にも災害医療支援薬剤師を派遣。各避難場所で避難者支援に対応し、不足する医薬品の把握から供給体制確保にも力を尽くした。

 熊本県薬の災害支援活動報告書によると、4月15日~5月29日の間に、災害用処方箋の調剤を行うための救護所での活動実績は、益城町保健福祉センターをはじめとする全7カ所。それらの場所で県内外の薬剤師延べ2700人余が活動に参加。▽救護所における調剤、服薬指導▽薬剤師不帯同の巡回医療チームへの薬剤師の随行▽医薬品や医療資材等の供給・仕分け管理などの医療支援に従事するなど、被災地で取り扱った災害用処方箋枚数は6000枚以上で、薬剤師の職能を遺憾なく発揮したようである。

 また、既に本紙でも報道したが、今回の震災で、一躍脚光を浴びたのが災害対策医薬品供給車両「モバイルファーマシー(MP)」の存在である。MP自体は5年前の東日本大震災で水道や電気などのライフラインが寸断されたことで、被災地での医薬品調剤業に支障を来した経験をもとに、宮城県薬剤師会が考案・導入した。その後、大分、広島、和歌山の各県薬が導入し、今回の熊本地震の救護所などの現場で実際に活用された。一方で、「救護所立ち上げ段階からMPが配備されているとより良い」との意見もある。

 今後、MPを出動させた各県薬、受け入れた熊本県薬、さらに災害支援薬剤師として派遣され、MPを体感した薬剤師等の見解を含めた課題の検証が進められていくのだろう。もともとは、保有する各県の災害時を想定し導入されたものだけに、他エリアへの災害派遣の運用方法など、さらなるマニュアル作りも課題となる。

 現時点で、鳥取県薬剤師会を含め国内には五つの県薬でMPを導入しており、今後、導入を検討している薬剤師会もあるようだ。災害は起きないに越したことはないが、発生時には薬剤師をはじめ災害医療支援チーム全体で、有効的な活用ができる車両となれることを期待したい。




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