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【厚労省】新薬12成分を13日付で薬価収載”抗HIV薬は承認後、緊急収載へ

2008年06月05日 (木)

関連検索: 厚生労働省 新薬 薬価収載 抗HIV薬 原価計算

■5成分に原価計算方式

 厚生労働省は新医薬品12成分22品目を13日付で薬価基準に収載、また、抗HIV薬「アイセントレス」(1成分1品目)を今月下旬予定の承認後に緊急収載する。4日の中央社会保険医療協議会総会で、薬価算定組織の報告が了承された。内訳は内用薬8成分12品目、注射薬5成分11品目。今回は、他に類似薬がないため5成分が原価計算により算定された。また、「アイセントレス」は、インテグラーゼ阻害剤という新しい作用機序により、多剤耐性HIVにも有用だとして有用性加算I(加算率40%)、分子標的型抗癌剤「スーテント」(ファイザー)は、難治性の消化管間質腫瘍(GIST)に有用だとし有用性加算II(5%)がそれぞれ適用された。

新医薬品一覧表(2008年6月13日収載予定)[PDF]


■「エクジェイド」が高い評価

 ◇イルベタン錠50mg同100mg(塩野義製薬)、アバプロ錠50mg同100mg(大日本住友製薬):イルベサルタンを有効成分とするAII受容体拮抗型の降圧剤(ARB)。ARBとしては日本で6番目で、新規性が乏しい新薬だとして類似薬効比較方式IIが適用され、過去6年間に収載された類似薬で最も低い薬価で算定された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度9万5000人、48億円、ピーク時の8年目が115・1万人、486億円。

 ◇ジュリナ錠0・5mg(バイエル薬品):有効成分はエストラジオールで、更年期障害、卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュ及び発汗)、膣萎縮症状に用いる。新たに経口剤が追加された。類似薬効比較方式Iで算定。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度4000人、2300万円、ピーク時の10年目が5万6500人、9億0300万円。

 ◇ルナベル配合錠(ノーベルファーマ):ノルエチステロンとエチニルエストラジオールを配合した薬剤で、子宮内膜症に伴う月経困難症に用いる。他に薬価算定上比較できる類似薬がないため原価計算方式で算定され、営業利益率は平均の19・2%が適用された。投薬期間制限を例外的に30日とする。関係学会の意見や治験が1カ月の間隔を置いて行われたことを踏まえた対応。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度4000人、3億円、ピーク時の4年目が2万人、18億2000万円。

 ◇エクジェイド懸濁用錠125mg同500mg(ノバルティスファーマ):有効成分はデフェラシロクスで、輸血による慢性鉄過剰症に用いる。この疾患は、再生不良性貧血など難治性の貧血に、輸血が繰り返し行われた結果、体内に鉄分が過剰に蓄積し、肝臓や心臓などに機能障害を起こすもの。体内からの鉄分排泄を促す鉄キレート剤が第一選択となるが、注射剤のため投与が不適当なこともあり、その場合はこの経口剤の投与となる。他に類薬がないため原価計算方式で算定し、新しい治療選択肢を提供する点で革新性が認められ、営業利益率は21・1%が適用された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度460人、8億2000万円、ピーク時の10年目が3940人、113億3000万円。

 ◇アログリセムカプセル25mg(シェリング・プラウ):有効成分はジアゾキシドで、国内推定患者数2000250人程度とされる高インスリン血性低血糖症に用いる。この疾患は低血糖による死亡や、知能への影響の恐れもあり、未承認薬検討会議から早期の導入が求められていた。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度163人、6300万円、ピーク時の2年目が210人、1億0100万円。

 ◇スーテントカプセル12・5mg(ファイザー):スニチニブリンゴ酸塩を有効成分とする分子標的型抗癌剤。根治切除不能または転移性の腎細胞癌と、イマチニブ抵抗性のGISTに用いる。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度485人、21億1000万円、ピーク時の10年目が3018人、140億9000万円。

 ◇ファムビル錠250mg(旭化成ファーマ):抗ウイルス剤ファムシクロビルを有効成分とした帯状疱疹の治療薬。ペンシクロビルのプロドラッグで、吸収率を向上させ、投与回数を1日5回から3回に減らした。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度5万2000人、12億3000万円、ピーク時の5年目が27万6000人、58億9000万円。

 ◇ポプスカイン0・75%注75mg/10mL同0・75%注150mg/20mL同0・25%注25mg/10mL同0・25%注バッグ250mg/100mL同0・75%注シリンジ75mg/10mL同0・25%注シリンジ25mg/10mL(丸石製薬):塩酸レボブピバカインを有効成分とする局所麻酔剤で、0・25%製剤は術後鎮痛、0・75%製剤は硬膜外麻酔に用いる。S体のみを製剤化し、心毒性を低減させようとのコンセプトで開発された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度4万7320人、1億3000万円、ピーク時の5年目が14万3800人、4億2000万円。

 ◇ヒュミラ皮下注40mgシリンジ0・8mL(アボットジャパン):完全ヒト化抗TNF‐αモノクローナル抗体アダリムマブ(遺伝子組み換え)で、既存治療で効果不十分な関節リウマチに用いる。生物製剤の「レミケード」「エンブレル」と同様にセカンドラインの治療薬。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度2500人、23億3000万円、ピーク時の8年目が2万2400人、388億9000万円。

 ◇ゼヴァリンイットリウム(90Y)静注用セット(バイエル薬品):イブリツモマブチウキセタン(遺伝子組み換え)塩化イットリウム(90Y)を有効成分とした、CD20陽性の再発または難治性の低悪性度B細胞性非ホジキンリンパ腫及びマントル細胞リンパ腫の治療薬。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度56人、1億4000万円、ピーク時の3年目が273人、6億9000万円。

 ◇ゼヴァリンインジウム(111In)静注用セット(バイエル薬品):イブリツモマブチウキセタン(遺伝子組み換え)塩化インジウム(111In)を有効成分とし、ゼヴァリンイットリウムと共に用い、イブリツモマブチウキセタンの集積部位を確認するために用いる。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度56人、1億円、ピーク時の3年目が273人、4億9000万円。

 ◇アクテムラ点滴静注用80mg同400mg(中外製薬):国産の抗ヒトインターロイキン(IL)‐6受容体モノクローナル抗体トシリズマブ(遺伝子組み換え)で、既存治療で効果不十分な場合に限り、「関節リウマチ」(関節の構造的損傷の防止を含む)、「多関節に活動性を有する若年性特発性関節炎」「全身型若年性特発性関節炎」などに用いる。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度3000人、22億円、ピーク時の10年目が3万8000人、500億円。

 ◇アイセントレス錠400mg(万有製薬):有効成分はラルテグラビルカリウムで、HIVが宿主にDNAを組み込む際に必要な酵素であるインテグラーゼを阻害して、ウイルスの増殖を防ぐという新しい作用機序を持つ。外国平均薬価を一定以上下回ったため引き上げ調整して算定された。企業が予測する投与患者数と販売金額は、初年度100人、1億3000万円、ピーク時の10年目が3600人、40億円。

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