厚生労働省が16日付で承認した新薬には、世界初の特発性肺線維症治療薬「ピレスパ」と共に、エストロゲンと黄体ホルモンの配合剤「ウェールナラ」、卵巣ホルモンと黄体ホルモンの配合貼付剤「メノエイドコンビパッチ」、低用量経口エストロゲン製剤「ジュリナ」など、多くの更年期障害治療薬が登場した。
ラミクタール錠:グラクソ・スミスクライン
「ラミクタール錠小児用2mg、同小児用5mg、同25mg、同100mg」(一般名:ラモトリギン)は、GSKが開発した新規抗てんかん薬。成人・小児の他の抗てんかん薬で、十分な効果が認められないてんかん発作に対し、併用療法での承認を取得した。小児に発症する難治性のレノックス・ガストー症候群への適応を取得したのは、国内で初めて。
ジェノトロピン注:ファイザー
「ジェノトロピン5・3mg、同注射用12mg、同ミニクイック皮下注用0・6mg、同1・0mg、同1・4mg」(一般名:ソマトロピン)は、世界で初めて開発された天然型ヒト成長ホルモン製剤。今回、骨端線閉鎖を伴わない子宮内発育遅延(SGA)性低身長に対する追加効能を取得した。既に欧米など62カ国で承認されている。
ネオーラルカプセル、内用液:ノバルティスファーマ
免疫抑制剤の「ネオーラル10mgカプセル、同25mg、同50mg、同内用液」(一般名:シクロスポリン)の効能・効果として、新たにアトピー性皮膚炎の追加承認を取得した。既にネオーラルは、既存治療に十分な効果が得られない成人の重症アトピー性皮膚炎に対し、世界60カ国以上で承認を取得している。
ウェールナラ配合錠:バイエル薬品
閉経後骨粗鬆症を適応とし、承認された「ウェールナラ配合錠」は、日本初のエストロゲンと黄体ホルモンの配合剤。両成分の配合によって個々に2剤を服用する必要がなくなり、服薬コンプライアンスが向上すると期待されている。
閉経によるエストロゲン欠乏によって骨吸収が促進され、骨量の減少が引き起こされる。その治療の一つとして、エストロゲンの補充が活用されるが、単独で長期投与すると子宮内膜肥厚・過形成のリスクがあるため、子宮内膜保護を目的に黄体ホルモンが併用される。これら両成分が配合された。
タプロス点眼液:参天製薬
「タプロス点眼液0・0015%」(一般名:タフルプロスト)は、原薬を旭硝子が製造し、参天製薬が製剤化した緑内障・高眼圧症治療剤。現在、第一選択薬として最も多用されるプロスタグランジンF2α誘導体として、同剤が初めての国産品となる。
ぶどう膜・強膜流出経路からの房水流出を促進し、強力で安定した眼圧下降作用を示すほか、日本人に多い正常眼圧緑内障患者においても確実な眼圧下降作用が認められるのが特徴。
ピレスパ錠:塩野義製薬
「ピレスパ錠200mg」(一般名:ピルフェニドン)は、米国マルナックおよびKDLから導入し、塩野義製薬が日本国内で開発を進めてきた特発性肺線維症治療薬。特発性肺線維症を対象とする国内第III相試験で、主要評価項目の肺活量低下を有意に抑制することが示され、世界初の承認取得となった。
ジュリナ錠:バイエル薬品
低用量経口エストロゲン製剤「ジュリナ錠0・5mg」の適応に、閉経後骨粗鬆症が追加された。今年4月に、更年期障害および卵巣欠落症状に伴う血管運動神経症状(ホットフラッシュおよび発汗)、膣萎縮症状への適応で承認を取得し、9月に発売された。
スミフェロン:大日本住友製薬
天然型インターフェロンα製剤「スミフェロン300、同600、同DS300、同DS600」は、腎癌・多発性骨髄腫治療薬として発売以来、肝疾患領域ではB型・C型慢性肝炎治療薬として使われてきた。今回、「C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(セログループ1の血中HCVRNA量が高い場合を除く)」の追加承認を取得した。これまで国内では、インターフェロンβ製剤のみがC型代償性肝硬変の効能・効果を取得していた。
ベプリコール錠:シェリング・プラウ
「ベプリコール錠50mg、同100mg」(一般名:ベプリジル塩酸塩水和物)は、1993年に発売された不整脈・狭心症治療薬。今回、他の抗不整脈薬が使用できないか、無効の場合の持続性心房細動の追加承認を取得した。持続性心房細動の適応については、医師主導治験による二重盲検比較試験が実施され、承認申請後、厚生労働省の優先審査品目に指定されていた。
メノエイドコンビパッチ:あすか製薬
「メノエイドコンビパッチ」(一般名:エストラジオール/酢酸ノルエチステロン)は、更年期障害治療におけるホルモン補充療法のために開発された国内初の医療用配合貼付剤。1枚の貼付剤中に、有効成分である卵巣ホルモン(エストラジオール)と黄体ホルモン(酢酸ノルエチステロン)を含有し、更年期障害・卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症(ホットフラッシュ及び発汗)に効果を発揮する。