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【遠言近言】生活の中にある「むくみ」の原因、病的とは限らなく直し方も工夫して‐廣田彰男

2006年04月24日 (月)

廣田彰男(広田クリニック院長)

 むくみはよくある一般的な症状であって、必ずしも病的な意味を持つとは限りません。たとえば靴は夕方に買え、と言うのも夕方の方がむくみのために足が大きいためです。その意味ではみんなむくみます。特に女性ではむくむ方が多いようです。

 このようなむくみの原因は主に静脈のうっ滞です。すなわち脚に溜まった静脈血が心臓にスムーズに戻れずむくみとなります。この静脈血を心臓に戻す力の一つは心臓が静脈血を引き上げる力です。従って心臓が悪い場合や低血圧などではその分その力は弱くなります。

 もう一つの力は脚の筋肉や組織の動きが静脈血を心臓方向へ押し上げる力で、こちらの方が大きな影響を持っています。これを静脈ポンプと言います。そのため快活に動き回っているとうっ血は起きませんが、あまり動かないとうっ血しがちになりむくみ易くなります。従って座業の方や、じっと立ち尽くしているような仕事の方はむくみやすくなります。

 立っていると、足首の静脈には、心臓からの水の重さ約80mmHgの圧がかかります。その圧で外側にむくもう、むくもうと外側に向かっていることになります。内圧が10mmHg上昇すると静脈内の血液量は6倍にも増加しますので、立っていると脚には大量の血液が溜まりこんでしまうことになります。

 そのため、心臓に還流する血液量も少なくなるので、今度は心臓が全身に送り出す血液量も少なくなり体調は悪くなるわけです。その際、もっとも血液量の不足に敏感なのは脳ですから、めまい、たちくらみなどがおきます。

 ところがこの時ほんの10歩でも歩くと、静脈内圧は一気に15mmHgまで低下します。一気に静脈は楽になるわけです。直立不動の門前の近衛兵が時間を決めて突然動き出すのはこのためとも考えられます。

 立っているのはまだ良い方で、足が地に着いて力が入っているとそれだけでも筋肉は緊張し静脈ポンプは働きます。しかし、足をダラリと下に垂らすと、筋肉の緊張はほとんどなくなり静脈ポンプはほとんど働きません。そのため脚先に溜まった静脈血は溜まるにいいだけ溜まってしまいます。ですから足の付かない掘りごたつは、暖かくて血管が拡張しやすいこともあり、良くないだろうと思われます。

 そう考えると、足先のつかない洒落たバーの止まり木でアルコールを呑むのはなんとも危ない気がします。あの呑み方は、早く酔うための、それとも早く酔わせて頭を働かせなくするための手段だったのかもしれません。

 広田内科クリニック むくみのページ(mukumi.com)



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