日本チェーンドラッグストア協会(JACDS)が発表した「日本のドラッグストア実態調査(08年度)」によると、ドラッグストア店舗数は1万5625店舗と、前年比で241店舗増加していることが分かった。調査は、日本のドラッグストア業態の動向と変化を明らかにする目的で、2000年から毎年行っており、今回が9回目。店舗数は調査開始以来、毎年増加を続けている。また総売上高(推定値)は5兆2336億円と、初めて5兆円の大台に達し、こちらも成長路線が続いている。調査結果からは、最近の健康ブームの高まりとも相まって、ドラッグストアが国民生活に確実に滲透し、拡大基調にあることが改めて示された格好だ。
JACDS版の「日本のドラッグストア実態調査」は、原則として日本国内で2店舗以上経営している会社を対象に、協会加盟の正会員企業へのアンケートと、会員外企業(正会員から調査担当会社を選定し、同業者の視点から調査)を対象としている。ここでのドラッグストアの定義は、店舗規模に関係なく、「医薬品、化粧品、日用雑貨、食品等を取り扱う小売店舗」とし、いわゆる調剤専門店は除いた。
今回、JACDS正会員企業では187社のうち、181社が回答した(ドラッグストア非経営会社は未回答)。会員外企業は422社を対象とした。なお、有効回答率は調査項目ごとに異なる。 全国のドラッグストア総店舗数についてみると、08年度は578社1万5625店舗となった(前回の07年度は605社1万5384店舗)
規模別店舗数は、有効回答が得られた正会員企業172社1万1081店舗、会員外企業86社585店舗の計258社1万1666店舗では、1500300坪未満の規模が4545店舗で、全体の39・0%と増加傾向が続いている(昨年は36・2%)。次いで600150坪未満が3041店舗で、26・0%を占める。300坪以上の大型店舗は1096店舗で、全体の9・4%と増加傾向が見られている。
最近のドラッグストアでは、食料品の取り扱い比率が増加し、またM&Aの進展や店舗の統廃合などにより大型化する傾向が強く、150坪以上の店舗が全体の半数近くを占めるまでになっている。
有効回答が得られた正会員企業156社9928店舗(構成比84・2%)の売上高は3兆3254億円で、これを基に店舗の確認ができた全国のドラッグストア578社1万5625店舗の売上高を推定すると、5兆2336億円(前年比5・4%増)となった。
このうち、「医薬品」の売上高は、正会員企業では9384億円(9・8%増)、全国の推定値では1兆5877億円(6・5%増)、「化粧品」については、正会員企業で7309億円(7・2%増)、全国の推計値で1兆3038億円(4・0%増)、「日用雑貨」は、正会員企業で8028億円(7・9%増)、全国の推計値で1兆1874億円(4・7%増)、「その他」(家庭用品、衣料雑貨、食品、健康食品、酒類を含む)は、正会員企業で8533億円(9・2%増)、全国の推計値で1兆1547億円(6・0%増)となった。
今回の調査からは、ドラッグストア市場全体の伸び率が5・4%と、経済成長率が厳しい見通しにある中で、ドラッグストア業界は成長を持続している実態が浮かび上がっている。調査をまとめたJACDSでは、「今後、ドラッグストアは医療制度改革の進展に加え、今年6月から施行される改正薬事法によって、医薬品の販売方法が大きく変化し、同時にセルフメディケーション推進の牽引役を担う機能も、必然的に増加するという環境下にある。合わせて調剤機能の取り込みや、長時間営業などへの移行も成長のプラス要因となり、ドラッグストア業界はさらなる規模拡大を継続していくと思う」としている。
JACDSでは、セルフメディケーションの普及によるOTC市場の拡大、ヘルスケア・ビューティケア・サプリメント市場の拡大、面分業の受け皿としての調剤取り扱いの拡大などによって、12年にドラッグストア産業は10兆円マーケットの実現が可能と見ている。さらに店舗数についても、「今後、改正薬事法の趣旨に則り、安全性を確保した上で、生活者に分かりやすく便利なOTC医薬品の提供、サービスの充実を図っていくことにより、12年には3万店以上(人口300004000人に1店舗)を作り出すことが可能」だとしている。