二酸化塩素による部屋などの除菌をうたった商品の関心が高まる中、二酸化塩素関連製品を生産・販売する国内事業者11社が集まり、「一般社団法人日本二酸化塩素工業会」が発足した。7月27日に都内で開いた設立総会で、初代会長に就任した柴田高氏(大幸薬品社長)は、「新たな業界団体の発足により、二酸化塩素製品の正しい普及と品質の向上、さらには製品技術等の進歩と改善を目指したい。今後は二酸化塩素関連技術によって、“安心かつ快適な生活空間を創る”という、新たな環境関連の市場構築、感染管理環境ビジネスの基盤ができればと思う」と抱負を述べた。
二酸化塩素は、特異的な酸化作用によって、ウイルスや細菌、真菌に直接働き、その構造を変化させて除菌する。約2年前に発生した新型インフルエンザ感染の流行を機に、部屋などに設置すると“空間に浮遊するウイルス・菌・臭いを除去する”など、二酸化塩素による除菌をうたった商品が、市場に多く見られるようになった。こうした二酸化塩素関連製品の需要が高まる一方で、全国の消費生活センター等にも、商品への相談や問い合わせが増加傾向にあった。
昨年11月、国民生活センターでは二酸化塩素製品のテスト結果および評価を公表し、一部の製品の品質や性能にバラツキがあるため、どの程度の除菌効果が得られるのかが明らかでないことや、二酸化塩素の放散がほとんど確認できない製品があることが指摘された。さらに同センターでは、二酸化塩素関連製品の生産・販売にかかる事業者に対して、「消費者が二酸化塩素製品を適切に使用できるよう、製品の安全性と有効性について十分に検証すること」を要請した。
こうした状況を受け、二酸化塩素製品の正しい普及、品質向上および製品技術等の進歩改善を図り、業界の健全な発展を目指すため、大幸薬品(吹田市)、大木製薬(東京千代田区)、バイオット(東京新宿区)、プライス(高松市)の4社が発起人となって、行政等の指導も仰ぎつつ、工業会の設立に至った。
「日本二酸化塩素工業会」は、会長に柴田高氏、副会長に松井秀夫氏(大木製薬会長)、理事に石川陽一氏(バイオット会長)、監事に河田稔氏(プライス社長)がそれぞれ就任したほか、田辺新一(早稲田大学理工学術院創造理工学部建築学科教授)、青山キヨミ(労働衛生協会嘱託医)の両氏を顧問に迎えた。事務所は東京都新宿区三栄町8の37の125に置き、電話は03・3358・1947。
設立時の参画は、発起人4社のほか、アールプラン(神戸市)、ist・イスト(東京千代田区)、エスエヌシー(沼津市)、カンキョー(横浜市)など11社。今後は、二酸化塩素製品および関連製品の製造・販売・卸業者の入会を募っていくほか、賛助会員として小売業者や企業・個人に対しても呼びかけていく考え。
設立総会では、厚生労働省医薬食品局審査管理課化学物質安全対策室の柴辻正喜室長補佐が、「家庭用品は安全第一で、リスクを最小限にすることが重要。工業会の発足に当たっては、業界の足並みを揃えて安全対策に尽力してほしい」などと、今後の活動に期待を述べたほか、経済産業省、消費者庁、国民生活センターからも製品の適切な表示を含め、情報提供の充実を求める声が寄せられた。