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MR認定制度の抜本改革 ~患者志向で医療の向上に貢献するMRへ~

2020年11月20日 (金)

継続教育でMRの資質向上へ‐ MR認定センター事務局長 近澤 洋平氏に聞く

近澤氏

 MR認定センターによる新たなMR認定制度が来年4月から施行される。MR数の減少が続き、「不要論」も指摘される逆風の中、今回の新制度施行によって同センターは抜本的な改革を目指す。MR教育の枠組みも必須時間から成果を評価する体制に変更し、これまで認定試験を受けることができなかった学生も受験可能となる。さらに、「MR認定要綱」も初めて策定した。要綱ではMRの定義や資質、責務などが明確化され、制度を大きく見直すことになった。新制度がMRを取り巻く厳しい環境を変える起爆剤となるのか。同センターの近澤洋平事務局長に、制度改革の背景や要綱にかける思いについて聞いた。


安全管理と倫理教育に重点

 ――制度改革と要綱策定の背景について。

 2014年をピークにMR数が減少し始めたのが大きな引き金となった。この時期から、MR不要論やMRに対する批判が出始め、MRの資質向上のために、まずは生涯教育の一環となる継続教育のてこ入れが必要となった。

 これまで認定センターでは、企業が実施する教育研修の基準として教育研修要綱を定め、運用してきた。履修時間という評価軸だけで、教育内容の把握や成果確認は行ってこなかった。試験を実施し、合格者に認定証を交付するという事務作業をしてきたことが大きな反省だった。

 教育の立て直しのため、16年に立ち上げた継続教育検討委員会では、新入社員が導入教育で習得した基礎知識も、認定試験が終われば忘れてしまうとの問題点を指摘された。MRにとって必要な基礎知識を網羅したMRテキストを、生涯教育として毎年学習すべきと提案された。また本来、MRによる情報提供は安全性を重視しなければならないが、有効性に偏りすぎ、患者志向が欠けているとの厳しい指摘もあった。

 こうした背景があり、今後のMR教育は、安全管理教育と倫理教育に重点を置くよう、同委員会から提言された。これまで認定センターは継続教育の内容を企業に委ねていたが、継続教育用のテキストを作成し、企業に教育研修の方向性を示した。

 ――MRにとっての変化は。

 企業に所属しているMRは、社内の教育研修に出席して、認定センターから送られてくる申請書に写真を貼り付け、サインをすれば自動的に認定証が更新された。つまり、MRは自身の認定証に対して自覚することなく更新ができていた。

 今回の要綱では、MRは毎年基礎教育をMR学習ポータルを利用して取り組み、5年ごとの更新時には自ら申請することになる。MRには自分たちの仕事について改めて考えてもらい、生命に関わる仕事をしているからこそ、これだけの教育が必要であるという自覚をしてもらいたい。

 ――教育面について。

 新制度では必須時間を撤廃した。継続教育の基礎教育は、個人で270問のドリルを全問正解することで1年間の基礎教育を修了とする。実務教育は、企業が責任を持って行う教育研修で、GIO(一般目標)やSBO(到達目標)といった目標設定を行い、成果を確認する制度に変更した。倫理教育と安全管理教育については個々のMRが最低限のレベルをクリアできるまで取り組む必要があるが、高い目標を設定しそれを達成できなかった場合は、なぜうまくいかなかったのか原因を考えて次年度の教育に役立ててほしい。倫理教育と安全管理教育については、目標設定委員会を立ち上げ、業界標準の目標を検討したので各企業に通知する。

医薬品の適正使用推進が必須

 ――要綱策定にどのような思いで臨んだか。

 要綱策定の目的の中でMRを「専門家」として位置づけた。私自身がMRの仕事をしていた当時は、医局の壁際に立って医師に愛想笑いと相槌を打つだけの日々を過ごした。仕事をしている実感も手応えもなかった。そうした時、患者さんが自社の医薬品によって救われる場面を目の当たりにした。「MRが企業を代表して医薬品の情報提供を行い、適正に使用されることで患者さんを救うことができる」という経験をした。自分たちの仕事で患者さんが救われる場面を、1人でも多くのMRに経験してほしい。専門家に似つかわしくない仕事をしていた自分のようなMRを社会に出したくないという思いが要綱には詰まっている。

 旧厚生省の「21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」の報告書には、MRは医薬品情報の専門家と位置づけられ、「その役割は従前にも増して重要となっている」とある。こうした過去の経緯もあり、要綱に専門家という文言を盛り込んだ。企業の教育担当者にとっても、専門家を教育するのと、営業担当者を教育するのでは重みが変わってくるはずだ。

 これまで、教育研修要綱で定められた時間を満たせば教育研修の修了としてきたが、本来は企業が求めている理想の姿と現状のギャップを埋めることが教育研修である。明確に教育研修の目標を設定し、成果確認によって教育研修の修了となるよう要綱では規定した。

 ――企業の教育や採用面での変化は。

 数年後の理想としては、多くのMR志望者が学生時代に認定試験に合格することで、企業が基礎教育の研修に充てていた300時間相当の負担を減らしたい。企業は、実践的な実務教育にリソースを重点投入することができる。そのためには、MRの仕事をしたいという学生の掘り起こしが必要だ。医療の高度化・個別化が進めば、薬学の知識を持っている人が活躍できる場もより広がるのではないか。

 ――MRが医療関係者から信頼されるためには何が必要か。

 患者に思いを巡らせ、医療関係者の立場を理解し、医薬品の適正使用を推進することだ。MRは未知の副作用の可能性のある医薬品を取り扱うだけに、高度な情報提供と収集が必要となる。

 ――最後にMRに対するメッセージを。

 MRの仕事をしようとしている人の大多数が医薬品を通じて医療に貢献したい、患者さんのためになりたいと思っている。今回の要綱は、新入社員の時の熱い思いが持続できるような内容になっているので、その気持ちを忘れずに業務に取り組んでほしい。

MR認定センター
https://www.mre.or.jp/




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