三井化学はこのほど、細胞培養ブランド「InnoCell」シリーズの新製品として、接着細胞培養向けの「InnoCell Pタイプ」を発売を開始した。同製品は、同社独自の高い酸素透過性を持つ材料と独自の表面処理技術を組み合わせた培養プレート。細胞がより生体機能に近い状態で育つ環境を実現し、オルガノイドや細胞組織モデルの作製を支援する。創薬研究における薬効・毒性評価の精度向上や、効果的なスクリーニングへの活用を目指した製品となっている。
近年、創薬研究では、ヒトの生体機能に近い状態を反映し、再現性の高いデータを取得できる細胞評価モデルの重要性が高まっている。特に、オルガノイドをはじめとする3D細胞モデルは、疾患メカニズムの解明、薬効・毒性評価、患者由来モデルを用いた創薬研究などへの活用が期待されている。
同製品は、高酸素透過性材料、細胞接着性を高める表面処理技術、細胞の観察精度を高める低自家蛍光性および薬剤の影響を受けにくい低薬剤吸着性を組み合わせることで、高機能な3D細胞モデルの構築と、創薬評価への展開を支援する。
関西医科大学の升本英利教授は、ヒトiPS細胞由来心臓オルガノイドの培養に同製品を使用した。既存のポリスチレン製プレートと比較した結果、同製品では、組織全体の厚みがより均一で、組織厚自体も増加ました。また、心筋細胞マーカーである心筋トロポニンT陽性の心筋細胞層についても、厚みと密度の増加した組織像が観察された。これらの結果は、培養組織への酸素供給を高めることにより、再現性の高い3D心臓組織モデルの構築を検討する上で重要な選択肢となり得ることを示している。
ミシガン大学医学部 内科 消化器・肝臓学部門 Jonny Sexton准教授は、同製品を用いて、ヒト腸オルガノイド由来上皮細胞の培養およびバリア機能評価を実施した。この評価では、従来広く用いられてきた多孔膜インサートを使用せず、上皮バリア機能を高感度かつ低ばらつきで評価できることが示唆された。さらに、同製品の低自家蛍光特性を活かすことで、ハイコンテントイメージングとの組み合わせや、腸管バリア機能を指標としたハイスループットスクリーニングへの展開が期待される。
同社取締役常務執行役員CTOの表利彦氏は、「近年、創薬研究ではオルガノイドやMPSなど、生体機能をより忠実に再現する3D細胞モデルの活用が急速に広がっています。同製品は、三井化学が長年培ってきた基幹技術をもとに開発した製品で、これらの先端研究を支える培養環境の高度化に貢献することが期待されます。私たちはInnoCellを単なる培養プレートではなく、創薬研究の生産性と予測性の向上を支える研究インフラと位置付けています」とコメントしている。




















