矢野経済研究所は、国内の化粧品受託製造市場を調査し、現況、参入企業の動向、および将来展望を明らかにした。それによると、2024年度の化粧品受託製造市場は前年度比102.6%の3547億円となった。ファブレスメーカー商品を中心としたインパクトのある付加価値型化粧品が通信販売やオンライン販売を中心に展開された。
主な調査結果によると、化粧品受託製造市場についてはコロナ禍の行動制限緩和以降の化粧品需要回復を見据えたクライアント企業(化粧品ブランドメーカーや異業種参入企業)からの新規オーダーやリニューアルオーダーで一時的に勢いづいたが、その後は現在まで店頭における化粧品販売が想定通りに進まない傾向が続いている。
消費者のニーズや嗜好の多様化に加え、通信販売やECチャネルの台東、韓国コスメをはじめとする海外製化粧品の流通量増加など、製品や販売チャネルの分散化が進行している。化粧品受託製造企業は実需のずれで生じる在庫滞留を避けるべく、各社とも慎重に発注計画を進めている。このような市況から、24年度の受託案件に関しても緩やかな回復がみられたものの弱含みで推移している。
一方、22年度以降、化粧品受託製造企業はクライアントへの価格改定交渉を実施しており、各社の従来受託価格に価格転嫁分が上乗せされた効果も作用し、市場規模は前年度を上回った。
25年度の化粧品受託製造市場に関しては、前年度比102.0%の3619億円への増加を予測。化粧品市場は、コロナ禍収束に伴うメイク需要回復や、インバウンド消費による市場の活性化などの作用により、全体では弱含みではあるものの底堅く推移する見通しとなっている。
その中でも通信販売やオンラインを販売チャネルの中心としたファブレスメーカーが展開するヘアケア・スキンケアカテゴリー化粧品ではヒットブランドやヒット商品が生まれており、注目度は高くなっている。今後も、新規参入企業を含め、その勢いは続くものと予測している。
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