日本版GDPの導入とグローバル化が進む医薬品サプライチェーンにおいて、物流企業が果たす役割
医薬品サプライチェーンのグローバル化
日米欧3極での新薬同時開発・同時発売の機運の高まりに加えて、バイオ医薬品が相次いで開発、発売されるようになり、世界的には成長産業として期待され、その売上高は今後も増加すると予測されています。また医薬品の輸出入も拡大傾向にあることから、近年では医薬品サプライチェーンのグローバル化が加速しています。
これら医薬品の品質を守るために、製造から販売までの間に様々な世界的、また国や地域別の基準が設けられており、その輸送においても、流通経路の管理、輸送中や保管中の温度管理、偽造医薬品の流入防止を目的とした、世界的なガイドラインGood Distribution Practice(GDP: 医薬品の適正流通基準)があります。
日本版GDP
GDPはEUでは法的拘束力があり、多くの国で導入が進んでいます。このトレンドは日本にも影響を及ぼし、2018年末には日本版GDPガイドラインが取りまとめられました。製薬企業がGDPを基準とした医薬品流通の実現を進めるには、その医薬品を預かる物流企業もGDPガイドラインを理解し、その要件に合った輸送ソリューションを提供しなければなりません。
そして、より長距離かつ複雑な輸送手順を必要とする国際輸送では、特にその管理に注目が集まっていると言えるでしょう。例えば、輸送中の医薬品の状態確認やトレーサビリティの担保、輸送施設・機材のメンテナンス、輸送手段・方法と関連する管理基準の制定・遵守などです。
経験のある物流企業の活用を
では、物流企業は具体的にどのような施策を行うべきなのでしょうか。日本版GDPを含む医薬品輸送に関する基準導入の広がりは、その輸送の委託を受ける物流企業の経験と能力も問うことになります。適切な施設および機器、知識と経験、適任の従業員を有し、管理手順を確立することができる業者であり、輸送要件の確認から輸送完了までの間に、どのようなプロセスが行われているのかをお客様に報告して可視化することで、輸送の品質を担保する能力を持っている必要があるのです。
フェデックスは30年以上にわたり、世界で11,000社を超えるヘルスケア業界のお客様にサービスを提供してきました。すでにGDPが導入されている国や地域においても、様々な医薬品輸送ニーズに対するソリューションを提供しているため、フェデックスの輸送ネットワークはヒト用医薬品に関するGDPガイドライン(EU版)への対応基盤を備えています [1]。
また、ヘルスケア業界向けの独自の輸送品質管理システムを導入し、どのような状況下においても、輸送プロセス全体の詳細な記録をお客様に提供しています。フェデックスの品質保証を専門的に担当するチームが、お客様のニーズに対応したサポートを提供し、法令規制の対象となる貨物は品質管理システムの下、標準作業手順、輸送経路とコンテナ/パッケージの確認、是正/予防措置、温度管理資料作成、逸脱レポート、不測の事態への対応など厳格に管理された輸送過程を通ります。
この品質管理システムは、WHOのテクニカルレポートシリーズ(付録9)、米国食品医薬局(FDA)の品質システム規制(21CFR、Part 820)、PIC/S適正流通基準、ISO 9001:2008を含む、お客様の様々な国内外の法令遵守をサポートするよう設計されています。また、フェデックスの品質契約は、お客様のすべての貨物に適用される標準的な取り扱い方法の確認に役立つのに加え、品質システムとプロセスに関するお客様のニーズに対応するよう、カスタマイズすることも可能です。
フェデックスは、製薬会社が世界経済の中で「責任ある企業」としての地位を確立するためには、日本版GDPの要件に合ったソリューションを提供できる物流会社の存在が一つの鍵になると考え、お客様をサポートしています。
[1] ^ FedEx Quality Management System
http://www.fedex.com/downloads/healthcare/FedExExpress-QMS-leaflet-JP.pdf