薬のことなら薬事日報ウェブサイト

◆先月開かれた第73回日本東洋医学会学術総会で「湯液VSエキス剤」というタイトルのシンポジウムを取材した。それぞれの利点や課題についてシンポジストが意見を交わした
◆湯液は、生薬を煎じたもので漢方薬の本来の服用方法とされている。湯液はドリップ、漢方エキス製剤はインスタントという形で、よくコーヒーに例えて表現される。効果も湯液のほうが高いとの認識が強いが、製造過程では大きな違いもあるようだ
◆工場内で均一な品質を保ち製造される漢方エキス製剤に対し、患者自らが煎じる湯液では最終段階で成分のバラツキが生じる可能性がある。また、漢方診療でも湯液による治療が、漢方エキス製剤の治療に比べて、有効性が高いというエビデンスの集積が乏しいことも課題とされた
◆参加者へのリアルタイムアンケートでは約半数が湯液（煎じ薬）の処方経験があると回答した。原料生薬の高騰で、薬価と仕入れ価格の逆ザヤがある中、湯液と漢方エキス製剤の比較研究は保険診療継続のためにも必要になるだろう。