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高脂血症治療薬「クレストール」‐25日から通常販売へ

2006年09月13日 (水)

塩野義の塩野社長(左)とアストラゼネカの加藤社長
塩野義の塩野社長(左)とアストラゼネカの加藤社長

 塩野義製薬とアストラゼネカ(AZ)は11日、2005年4月の発売以来、日本人による副作用頻度などを安全性を調査するため、納入先を約1000病院に限ってきた高脂血症治療薬「クレストール」(一般名:ロスバスタチン)について、25日から通常販売に移行すると発表した。調査の中間解析で、海外臨床試験結果と同様の安全性が確認できたと判断したため。通常販売では、両社合わせ全2700人のMRで販売拡大に動く。売り上げ目標は明示しなかったが、今後、スタチン系薬剤のトップシェア製品を目指すとしている。

 クレストールは承認時、海外臨床試験データが中心で日本人データがごく限られ、長期使用される薬剤でもあることから、日本人でも海外症例数の1万に匹敵する市販後調査(うち900例は長期投与試験)を実施することになった。調査は、ICHの医薬品安全性監視計画指針(トピックコード:E2E)に準拠して実施された。

 長期投与を除いた調査予定症例数は8100例で、今年3月までに9666例が登録されている。中間解析は、統計学的にも検証可能だった3582例を対象に、海外臨床試験と副作用頻度が大きく違いがないかなど、安全性を検証した。

 その結果、副作用発生頻度は8・43%(302例)と承認時の頻度を上回らず、重篤な副作用は7例だった。うち肝機能異常・肝障害は3例、薬診1例、筋痛1例、筋傷害の程度を示す血中クレアチニン(CPK)増加2例で、懸念された横紋筋融解症の発現はなく、いずれの結果も「使用上の注意から予測できる」とした。

 また、筋に関連した副作用で筋痛の発現率は1・81%、CPK増加1・28%、肝に関連した副作用は1・95%で、「日本人における本剤の影響が海外と異なることを示唆するものではなかった」との結果だった。腎や尿路に関連した副作用についても、血尿0・45%、蛋白尿0・31%と、一般人口の出現率を下回り、それ以外の腎関連副作用も0・31%で「因果関係が強く示唆される症例はなかった」という。

 それらの成績から、両社は「日本人での安全性が確認された」と結論づけ、通常販売に移行できると判断した。今後、患者背景別の解析や頻度の低い副作用などを含め、最終解析結果を来年前半にも発表するとしている。長期投与試験は今年10月をメドに登録を締め切る。

 両社は11日に都内で記者会見し、AZの加藤益弘社長は「日本での新薬導入の一つのモデルを提示できたと自負している」と述べた。塩野義の塩野元三社長は「日本人のエビデンスが確立できて本当によかった。今後、クレストール(の価値)を日本で最大化できるように努力したい」と語った。



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