文部科学省が大学の学部教育の質確保に向けて新たな手を打った。中央教育審議会大学分科会の作業部会で、学位の分野に基づく学部ごとの教育の質を第三者評価で確認する新たな評価案を示したのである。
評価案では、各大学が内部質保証システムを中心に大学全体で確認すべき事項を確認し、各学部単位の自己点検評価結果に基づき教育の質に特化した評価を各学部ごとに実施するとされた。質の評価としては、「高等教育機関として相応しい水準に達していない」「高等教育機関として相応しい水準に達している」「傑出した取り組み等を通じて教育成果を上げている」の3段階での評価が検討中とされ、高等教育機関として当然に求められる水準を備えているといった質保証の水準に達しているか判定し、傑出して教育成果を上げていると評価された学部には助成金の配分を大きくするなどのインセンティブが与えられる模様だ。
既に薬学部・薬科大学においては、6年制教育に対して薬学教育評価機構による薬学教育プログラムの第三者評価が行われており、現在第2期の評価が始まっている。
第2期の評価基準は、教育研究上の目的と三つの方針、内部質保証、薬学教育カリキュラム、学生の受け入れ、教員組織・職員組織、学生の支援、施設・設備、社会連携・社会貢献といった項目が挙げられるが、特に第2期で重視されているのが「内部質保証」である。
こうした中での今回の文科省の方針だが、質保証という観点は新たな評価案とも整合する。今回の評価案は薬学部に限ったものではないが、ほぼ第三者評価に沿った考え方と見て良さそうだ。最大の焦点はインセンティブとペナルティの存在で、今後の議論で注目されるポイントになる。
一方で、薬学部・薬科大学の教育をめぐり文科省は、既に2025年度から6年制薬学部・学科の新設、定員増を抑制する方針に舵を切った。日本私立学校振興・共済事業団の調査では、全国の私立大学の53.2%が定員割れだったことが判明している。
少子化の進行が避けられない社会情勢の中、定員の抑制に続き、各大学に対する補助金のメリハリなどによって学部教育の質を維持していく方針は、薬剤師国家試験対策だけに注力しているような私立大薬学部・薬科大学には逆風となるだろう。経営優先で留年や退学者の増加など6年制薬学教育の問題を抱えたままの私立大には大きな影響を与えるのは必至だ。
折しも第三者評価は28年度から第3期の評価がスタートする見込みとなっている。文科省による質保証の方針とほぼ同様の内容であるため、薬学教育の第三者評価が4年制を含め国の評価に統一される可能性も十分考えられる。補助金の増額やカットを絡めた国主導の大学再編の行方を注視していく必要がある。
















