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薬大低学年時の現場体験拡充を

2026年02月13日 (金)

 2022年度に改訂された薬学教育モデル・コア・カリキュラムの学年進行を受けて28年度から、5カ月間の実務実習を修了した薬学生を主な対象とした「薬学実践実習」が始まる。薬学教育協議会がこのほど具体的な指針を公表した。

 実習期間は8週間を基本とし、当面は選択科目扱いとなる。指針では、実習の場は行政や公的機関、研究機関、企業なども含めて幅広く設定されているが、基本的には病院や薬局の臨床現場で追加の実習を行うことになるだろう。

 28年度に向けて各薬系大学は実施体制をどう構築するのか、具体的な検討が本格化する。追加のアドバンスト実習を実施している大学や、附属病院を持つ大学は取り組みやすい。一方、そうではない大学がゼロから実施体制を構築するのは容易ではない。

 各地域の病院・薬局実務実習地区調整機構が薬学実践実習の調整も担う見込みで、ある程度は平準化されるものの、大学や地域で実施状況に差が生じる可能性はある。

 改めて、薬学生が学外で実習に取り組む意義を考えてみたい。学内では学べないことを学ぶのが学外の実習だ。病院や薬局に身を置いて現場の臨場感を体験し、病気で困っている患者の姿を自分の目に焼き付ける。多職種連携の仕組みや薬剤師の役割を知る良い機会になる。

 こうした体験を通じて薬学生の学習意識が高まるほか、進路選択を最適化できる意義は大きい。その意味では、高学年の薬学生への追加的な実習と並行して、低学年次の薬学生を対象に現場体験の機会をいかに創出するかという議論も深めるべきではないか。

 参考になるのが米国の薬学教育だ。高学年次の長期の高度実務実習に向けて、低学年次に導入的実務実習として薬局や病院で約300時間以上の実習を課す大学がある。

 米国を見習い、日本の薬学教育でも実施可能な方法の一つが低学年次のインターンシップだ。就職を意識した高学年次のインターンシップとは違って現場体験の機会を設けることに軸足を置く。

 国内では、武庫川女子大学薬学部が積極的に取り組んでいる。低学年時に学生が薬局等でアルバイトとして働く有償インターンシップを22年度から開始。24年度からは新たに勤務時間を200時間以上に延ばした長期教育プログラムを始めた。カリキュラム外で単位付与対象ではないが、要件を満たした学生には、就職活動時のアピール材料になる修了証を発行する。

 学生は、お客様扱いされる就活生ではなくスタッフの一員として働き、全身で現場の雰囲気を体感し、大学で得た知識や技能がどう現場で生かされるのかを理解できる。

 少子化が進み大学間競争が激化する中、独自性の高い教育プログラムは他大学との差別化にもつながる。各大学は低学年時の最適な教育のあり方を学生目線で考え、柔軟に取り組んでほしい。



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