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薬剤師も人工呼吸器使用に関心を

2026年01月16日 (金)

 在宅医療の現場でも人工呼吸器は、生命維持に直結する高度な医療機器であり、その操作や管理には高い専門性が求められる。医療機関でもこれまで多くのヒヤリ・ハット事例が報告されてきたが、近年増加しているのは医療機関の外である在宅現場における使用である。

 大阪府の薬事審議会部会は今年度の取り組みとして、在宅人工呼吸器のヒヤリ・ハット事例を取り上げた啓発動画「人工呼吸器を正しく使用するために」と関連資料を作成した。これらの成果物は年度内に開催される議会を経て、ユーチューブで公開される予定だ。府薬務課のホームページには動画のリンク、チェックリスト、資料一式が掲載され、関係団体を通じて広く周知が図られる見込みである。

 高齢化や小児在宅医療の拡大に伴い、在宅人工呼吸器使用者は年々増加している。しかし、在宅領域で発生するトラブルの実態はこれまで十分に可視化されてこなかった。府は2024年度に、府内の訪問看護ステーションと在宅用人工呼吸器の販売・貸与事業所などに対して調査を実施した結果、回答のあった全ての訪問看護ステーションのうち、人工呼吸器使用患者の受け入れ実績がある125事業所の18%に当たる23件、また人工呼吸器営業所では全11件のうち36%に当たる4件が「ヒヤリ・ハット」を経験していた。

 内容は、▽回路の接続外れ▽気管カニューレの抜けかけ▽人工呼吸器の誤操作▽配管不具合――などで、在宅でも一定数のヒヤリ・ハットが発生していることが分かった。医療機関であれば想定し得る事例でも、専門職が常駐しない在宅環境では、より深刻なリスクにつながりかねない。

 こうした課題に対して、府が作成した啓発動画と関連資料の意義は大きい。アンケートに基づく事例を取り上げ、リスクの構造と具体的な防止策が分かりやすく整理されている点は特に評価できる。また、対象が患者本人や家族だけでなく、訪問看護師、医療機器販売業者など在宅医療に関わる幅広い職種に及んでいる点も注目すべきである。

 人工呼吸器の安全確保は、単一の専門職やデバイスメーカーだけで完結するものではなく、多職種がそれぞれの立場から気づきを持ち寄り、在宅の現場を支える安全網を強固にしていく必要がある。

 とりわけ在宅医療に関わる薬剤師にとって、人工呼吸器のヒヤリ・ハット事例を知っておくことは重要である。吸入薬の適正使用、酸素療法機器との併用、緊急時の初期対応など、薬剤師が接点を持つ場面は少なくない。今回作成されたチェックリストや事例集は、在宅医療に関わる薬剤師のリスク感度を高める上で実務的に価値ある資料となるだろう。

 命を預かる人工呼吸器の安全確保に向け、在宅の現場に光を当てた今回の取り組みが全国の安全対策のモデルとなることを期待したい。



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