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【先進医療専門家会議】「使用確認試験」15技術を了承

2007年09月13日 (木)

関連検索: 先進医療専門家会議 厚生労働省 臨床的な使用確認試験に関する検討会 高度先進医療

■実施医療機関の申請も開始

 厚生労働省の「臨床的な使用確認試験に関する検討会」は、高度先進医療の中で実施されている適応外技術を「臨床的な使用確認試験」とすることで、保険外併用療法制度の評価療養とする仕組みを設けたが、11日に開かれた先進医療専門家会議では、同検討会から「使用確認試験」を適応できる「時限的先進医療」として、15技術を選定したことが報告され、了承した。

 保険医療と保険外医療の併用を認める特定療養費制度は昨年10月に、評価療養と選定療養の二つからなる保険外併用療養制度に衣替えした。これにより、先進医療の中に従来の高度先進医療が含まれることになった。しかし、先進医療では適応外技術は対象外となっていたことから、適応外技術を用いた高度先進医療は「時限的先進医療」と位置づけられ、経過期間後はこの療養制度の対象外となり、治療の継続ができなくなるなどの問題があった。

 これに対応するため厚労省は6月、検討会を開き、適応外技術を用いた高度先進医療を洗い出し、その中から、一定の要件を満たす医療技術を実施する場合、それを「臨床的な使用確認試験」とし、保険外併用療養で治療が継続できる仕組みを設けた。

 6月の検討会では、101種類の高度先進医療の中から、適応外技術を使用した18技術を「時限的先進医療」に選定していたが、さらに検討会で審議した結果、薬事法上の承認が必要ないとされたものを含め、▽内視鏡下頸部良性悪性腫瘍摘出術▽悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の遺伝子診断▽樹状細胞及び腫瘍抗原ペプチドを用いたワクチン療法▽内視鏡下甲状腺癌手術▽自己腫瘍(組織)を用いた活性化自己リンパ球移入療法――など15技術を対象とすることにした。

 使用確認試験の要件は、▽データマネジメント体制がある▽有効性・安全性が客観的に確認できることが期待でき、院内の倫理審査委員会等において認められた試験計画・プロトコールである▽多施設共同研究の場合は、多施設共同研究として実施可能なモニタリング体制を確保すること――など。

 現在、各医療機関から試験計画が申請されており、最終的には11月上旬をメドに、検討会で、提出された各試験計画の妥当性について検討を行う予定。その後、中央社会保険医療協議会でも検討する。

■診療報酬改定を睨み保険導入候補を検討

 またこの日の会議では、来年度の診療報酬改定を睨み、現在の先進医療の中から保険導入する技術の候補を、12月の会合で決めることにした。

 保険診療導入に当たって考慮すべき事項としては、▽有効性▽安全性▽技術的成熟度▽社会的妥当性▽普及性▽効率性――などを挙げた。希少疾病であっても、罹患率、有病率から勘案して、適用の割合が大きい場合は対象になる。

■遺伝子診断、2技術を導入”7月受付け分を審査

 また同会議では、7月に受け付けた新規技術の中で事前評価を行った4技術のうち、▽色素性乾皮症(XP)に係る遺伝子診断▽先天性高インスリン血症(CHI)に係る遺伝子診断――の2技術についても検討した結果、将来的な保険導入を前提とした評価療養とし、保険外診療と保険診療の併用を認めることを了承した。

 XPの遺伝子診断は、患者培養細胞を用いてコロニー形成法による紫外線致死感受性テストなどを行うもの。高発癌性であるXPを早期に診断することで、遮光により皮膚癌の発生を未然に防ぐことが可能で、神経症状への対応も早期に始められるとした。また、日本で最も重症のA群においては、遺伝子診断によってある程度予後が推測できるので、早期からの対症療法は医療上必要性が高いとした。

 実施に当たっては、責任医師は日本皮膚科学会認定専門医の資格が必要で、皮膚科の経験年数は5年以上、当該技術の経験年数は3年以上。経験症例数は、医療機関として3例以上が要件とされた。倫理委員会による審査体制、遺伝子カウンセリングの実施体制も必要としている。

 CHIの遺伝子診断は、患者の末梢血を採血し、白血球よりDNAを抽出、原因遺伝子の塩基配列を解析するもの。遺伝子診断によってCHIの診断が確定されるため、治療法として膵亜摘出術が提案される場合は医学的判断の根拠となり、遺伝形式によっては病理像との対応が認められるので、切除範囲決定の参考となる。

 責任医師は、小児専門医、小児外科専門医または臨床遺伝専門医の資格が必要で、小児科または小児外科の経験年数が3年以上、当該技術の経験年数は1年以上とした。経験症例数は、医療機関として1例以上が要件とされた。また、倫理委員会による審査体制、遺伝子カウンセリングの実施体制も必要としている。

 このほか、保留とされていた1月受け付け分の「歯周外科治療におけるバイオ・リジェネレーション法」について、カニューレの目詰まりの原因が特定され、改善して販売が再開されているため、先進医療に導入としたことが報告された。

 7月受け付け分の残り2技術は、▽ポジトロン断層撮影画像による不安定プラークの検出(使用する装置が薬事法適応外)▽アポタイズ回折型眼内レンズを用いた水晶体再建術(書類不備)――は返戻となった。

 なお8月受け付け分は、▽セメント固定人工股関節再置換術におけるコンピュータ支援フルオロナビゲーションを用いたセメント除去術▽凍結保存ヒト組織の臨床使用▽リアルタイムPCRを用いたEBウイルス感染症の迅速診断――など7技術。

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