オリンパスは今秋、主に膵臓がんなどの疾患に対し、超音波内視鏡を用いて行われる「超音波内視鏡下生検術」(EUS‐FNA)で使用するシングルユース生検針「SecureFlex(セキュアフレックス)」を、日本および欧州で販売を開始する。また、その他の地域についても、各国の法規制対応の準備が整い次第、導入していく。

同製品は、多角的なカットを施した「Dual‐Beveled Raptor Tip」を採用している。刺さりやすさを向上させるため、上下の刃面に鋭利なエッジ加工を施している。また、組織が針の中へ入りやすくなるよう、サイドの刃面を内向きにした。これらの構造によって、組織検体をきれいに切り取り、組織を傷つけず細胞構造を保持しながら、より多くの組織検体の採取が可能となっている。
EUS‐FNAでより精度の高い診断を行うためには、狙った部位への正確な穿刺が求められる。膵臓がんがよく発生すると言われる膵頭部は特にアプローチが難しく、内視鏡の先端を大きく湾曲させて行う場合がある。同製品は内視鏡の先端が大きく湾曲した状態でも挿入しやすいよう、しなやかな設計を目指した。柔軟性の高いナイチノール針と多層構造のシースを採用することで、少ない力で滑らかな挿入をサポートし、穿刺困難部位へのアクセスが容易にできる。
EUS‐FNAは、口から超音波内視鏡を挿入し、超音波で粘膜下の状況を確認しながら、内視鏡では直接アクセスできない膵臓、粘膜下腫瘍、リンパ節などに、消化管壁を介して針を刺し、組織・細胞を採取する検査。採取された組織が良性か悪性かの病理診断が行われる。
膵臓がんの治療法の開発が進み、分子標的薬治療や免疫療法など新しい治療法も多く行われている。これらの治療法では、薬の適用を決定するためEUS‐FNAで組織検体を採取し検査をすることがある。この場合、薬の適用を正確に判断するため、より多くの質の良い検体が必要になる。
今回発売される同製品は、このようなニーズに対応するため開発された。同製品は、膵臓がんをはじめとする疾患における治療方針の決定に役立つ。
なお、同製品は30日から11月2日に、神戸市の神戸ポートピアで開催される「第33回日本消化器関連学会週間(JDDW)」に出展される。